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美食家ルイ14世も愛したホワイトアスパラ

稀代の美食家は「春の宝石」と称え、誰よりも早く食すことを望んだ。故に、ベルサイユ宮殿内で栽培されていたホワイトアスパラガス。その美しい穂先は、「マドモアゼルの指先」と呼ばれ、大切に扱われる。

執筆者:萩原 章史

ホワイトアスパラ
新鮮なホワイトアスパラガスは網焼きするだけでも美味
 

アスパラガスと人類の歴史は古い その昔は薬草

地中海沿岸ではギリシャ時代から食されていたアスパラガス。

アスパラガスの学名はアスパラガス・オフィシリス。オフィシリスはラテン語で薬用という意味。何と2000年以上前から、人類はアスパラガスの効能を知り、薬膳として食していたのです。

アスパラガスはビタミンA、B1、B2、カルシウム、鉄分、ニコチン酸などを含みます。
名前の由来でもある、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸や、亜鉛なども豊富です。
ビタミンAは身体の抵抗力をサポート。アスパラギン酸は新陳代謝を促す効果と、タンパク質合成を高める効果があるので、滋養強壮や疲労回復、ダイエットに効果的です。穂先部分には亜鉛が豊富に含まれており、血管を丈夫にし、高血圧や動脈硬化の予防に効果が期待できます。
もちろん、亜鉛には精力維持の効果が期待できます。

多忙で不規則で不摂生な生活を続けていたルイ14世にとって、ホワイトアスパラガスはまさに理想的な野菜です。また、厳しい現代に生きる我々にも、共通の理想的な野菜だと言えます。
 

ホワイトアスパラガスは偶然の産物

ホワイトアスパラ
このくらいの太さが2Lサイズです
ホワイトアスパラガスの起源。それは、今から500年ほど前の16世紀。イタリアのある村がひょう害の飢饉に苦しんでいた時のことです。食べるものがなく、農民たちが土中のイモを探す為に、必死に土を掘っていた時に、偶然見つかったのが、ホワイトアスパラガスという説が有力です。

グリーンよりも栄養価が全体的に劣るホワイトですが、グリーンよりもずっと高い糖度が人気となり、その後はヨーロッパ全土に広がり、春を告げる大切な野菜として珍重されてきました。その代表的な愛好家がフランスのルイ14世です。

ルイ14世は誰よりも早くホワイトアスパラガスを食べたかったようで、ベルサイユ宮殿内にアスパラガスを植え、収穫したてを食していたようです。

糖度が高いホワイトアスパラガスですが、収穫後の糖度劣化が激しいので、まさに理想的なアスパラ食環境にルイ14世は生活していたわけです。

アスパラガスの成長著しい時は、一日で10センチも伸びます。また、長い冬の間に蓄積したエネルギーを、一気に春に爆発させるパワー。 まさに、「旬のエネルギーを食す」のに最高の素材です。
 

北海道の滝本農場のホワイトアスパラガス 日本で唯一の有機栽培

ホワイトアスパラ
JAS有機の証明です
今回ご紹介するホワイトアスパラガスは絶品です。国産のホワイトアスパラガスの最高峰だと思います。

白い肌……まさに、カルデラの貴婦人。

滝本農場のある北海道の赤井川村は日本で唯一のカルデラの町です。村の周囲をぐるっと囲む外輪山が下界との接触を遮断し、アスパラガスにとっては最高の環境といえます。
薄いクリーム色の滝本さんのホワイトアスパラガス 別名カルデラの貴婦人ですが、実物を見たら、きっと誰もが「さもあらん」と、うなずく美しさです。

この貴婦人、非常に性格が素直であくがなく、あっという間に料理できます。

次ページで、ホワイトアスパラガスの調理法を説明します>>
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