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開高健がこよなく愛したカニ セイコガニ(2ページ目)

ぷりぷりの身は甘く濃厚。ただし、小さな蟹は面倒くさいという方にはご遠慮頂きたい、冬の日本海の珠玉の逸品です。

執筆者:萩原 章史



■吸出し技術がコツ
蟹に食べ方のルールはありませんが、私の一押しの食べ方をご紹介します。

先ずは、足と外子(外側についている卵)をじっくりと交互に食します。
外子は薄めの塩味が程よく、独特の『しゃりしゃり・ぷちぷち』した食感が何ともいえません。もちろん、内子(殻の中の卵)はさらに美味しいですが、外子は外子で癖になる味です。おなかのフンドシ(三角の部位)にくっついていますので、歯でしごく感じで頂きます。一度に全部を食べないで、足の部分と交互に味わいます。また、ふんどし付け根の真っ赤な部分は最高の内子なので、この部分までしゃぶり尽くして下さい。



セイコガニの足は細くてズワイガニにように、ほうばる感覚は味わえませんが、味は非常に美味です。このような小さな蟹の足は、食べると言うより、吸い取るという表現が近いです。『ちゅちゅ』と吸い込むと、美味な蟹肉と蟹のジュースが口に飛び込んできます。慣れないとうまくいきませんが、上海蟹や渡り蟹のような小さな蟹を食べるには、この吸出し技術は是非とも会得して欲しいです。

私は産直品のショッピングモールを運営していて、思いもよらないクレームを受けることがありますが、何度かあったのは、『セイコガニって全然食べるところがなくて、よくこんなもん売るよな!』という勉強不足のお客様のクレームです。大事に足の先まで堪能すれば、一匹でもかなり満足感があります。特に足の身はとても味が濃いので、面倒くさくても、きちんと召し上がって欲しいです。

足と外子を食べてから、だるま状態になった蟹の甲羅をはずします。



胴体部分のガニ(えら)を取り、半分に割ると真ん中の味噌と内子が露出しますので、これをこぼさないように、しゃぶりつきます。この味噌と内子の交じり合う部分を堪能するのが、セイコガニならではの楽しみです。

甘くて濃厚で、それでいてくどさがない味わいがセイコガニの特徴です。渡り蟹の味噌や卵も美味しいですが、セイコガニの味は苦味がなく味噌と卵の量の個体差が少ないので、確実に堪能できるのがうれしいです。

続いて胴体の甘い身を食べますが、お好みで身を甲羅の蟹味噌に混ぜて食べても美味しいです。甲羅にくっついている口の部分を取り、同時に口の延長についている胃も取りますが、この口と胃にもたくさんの蟹味噌がついているので、しっかりとしゃぶります。



■味噌を残して熱燗を注ぐ
最後は甲羅の隅々までたまっている内子と味噌をスプーンや指ですくい堪能します。まさに、舐めてはお酒を『グッビ』状態になります。このあたりまでくると、口も指も蟹の味がしみ込み、満足度も最高潮に達します。

もちろん、甲羅酒も最高です。卵(内子)を食し、わざと味噌を食べ残して、普通より熱くした燗酒を注ぎます。出来れば、少し直火で炙ることが出来れば、甲羅の芳ばしが酒に溶け込み、また違った味を堪能できます。

これだけ堪能して一匹1500円は十分にバリューがあります。ただし、面倒くさがりにはお薦めしません。

■ 取り寄せ情報 ■
(資)田島魚問屋
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。

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