【調理の主従関係】
で、そのフランスを代表とする西洋の料理は、まず、煮る(焼く)があって、そして切るが後から付いてきます。
解り難いでしょうか?......なら言い方を変えまして、日本料理はですね、素材を割く(さく・包丁で素材を切ること)が主で、烹(煮るという意味)が
従になります(割烹料理とはそんな意味です。)”包丁のさえ”が要求されるお刺身は日本料理独自のしかも、日本人の嗜好によくあった調理法と言えます。
でも、フランス料理の方はと言えば、烹が主なのです。つまり火を通してから切るわけです。日本料理でよく使用される素材『魚肉類』がわりあい均一な硬さなのに対して、西洋料理の主な素材である『鳥獣肉類』は、硬さ(熱の通り具合)が不均等です。牛1頭をとってみても肩、すね、しっぽ、舌が、全然違います。それを、焼く・揚げる・蒸す・煮込む、などの方法で柔らかく美味しく調理していきます。
時代は代わっても、新世紀になっても、この基本は忘れないで(というか理解した上で)和風にアレンジするにしても、あんまり日本人的な感覚に固執しないで、外国の食文化に敬意を表して調理して欲しい.....それは即ち、外国の料理を美味しく作る最大のコツに違いないからです。
【脱線】
故.林家三平師匠は、テレビの中ではとてもおちゃらけた感じの演技をなさる方でした。ふざけてるようにさえ見えたその舞台に立つ前に、楽屋で古典落語を何度も何度も復唱し、自分にOKを出せた時に、初めて本番の舞台に立てて「よしこさ~ん♪こっち向いて~」といった風に、演じる事が出来たのだと云います。子供だった私にはその深さを感じ取れませんでした。リアルで観ていた世代なのにもったいない事しました。林家三平は、落語界のピカソかもしれない!