植木・庭木/庭木・花木の種類と育て方

庭木の植え方……庭の現状把握から樹木の選び方・植え方

たとえ一本でも庭木を植えることで、庭に広がりが生まれます。他にもローメンテナンスですみ、季節感を楽しめるなどいろいろなメリットがあります。今回は、庭に植える木の選び方と、植え方をご紹介します。ぜひ参考にして庭木を植えてみてください。

畠山 潤子

執筆者:畠山 潤子

ガーデニングガイド

庭木の植え方

庭木の植え方

ガイド記事【庭に木を植えるメリット】では、たとえ一本でも庭木を植えることでいろいろなメリットがあると言うことをお話しました。 今回は、庭の現状把握から植える木の選び方、そして木の植え方についてお話します。
   

あなたの庭の現状は?

まず、今現在あなたのお庭には木が植わっていますか?まったくの更地、これから庭を作るという方は、この項はサラリと読み流して次ページに進んでも結構です。
それ以外の方はきっと既に庭があって、何らかの木が植えられているという状態だと思いますが、さてその木は残して更に木を植えたいですか?それとも違う木に植え替えたいと思っているのでしょうか?

庭に木を植えたいと思ったとき、まずは自分の庭の現状を知っておく必要があります。 スペースに余裕があり、既存の木を残したまま新しい木を植えるというなら、次ページの樹種選びに進んでいただいてOKです。ただし、既存の植物との調和をとることは、頭に入れておきましょう。
 

既存の木を処分する場合

枝の整理
木を掘り上げる前に、枝を切り落としておく
さて、何らかの理由で今ある木を処分して、新しい木を植えたいという方は他の方よりも労力(もしくはお金)がかかってしまうことは覚悟しておきましょう。
 
【既存の木を処分する方法】
低木で幹も細い木なら女性でも自分で作業が可能です。まずは作業に邪魔な枝を剪定鋏で刈り込みます。 作業しやすい状態になったら、幹周りにスコップを突き立てて太い根(支持根)を切ります。根張りの大きさは、だいたい枝張りに比例すると考えていいでしょう。
根を切る 掘り上げ
1.根張りの見当をつけて、スコップを立てて根を切る 2.体重をかけてスコップを深く突き立て、掘りおこす
うまく根が切れていれば、あとはテコの原理でスコップを使い、掘りあげることができます。もし途中で木が動かなくなってしまったら、まだどこかの根が繋がっているのです。周囲の土を落として根を探り当て、剪定鋏などで切りましょう。

次に人の背丈くらいある木の場合、幹があまり太くないものであれば、少し時間はかかりますが上記と同じようにして掘りあげることができます。枝を落として主幹(中心の幹)も半分くらいに切り詰めておくと作業がしやすくなります。
木を掘りあげたら、土中に残った根もできるだけ取り除いておきましょう。次に植える植物の根張りを妨げずにすみますよ。

問題は年数が経ち、背丈も幹周りもある木です。こうなるとノコギリを使っての作業も困難になってきます。力自慢の男手が数名確保できるなら何とかなるかもしれませんが……。一般家庭でチェーンソーを持っているお宅も珍しいでしょうし、根の処分も大変。となると、最終的には業者に依頼することになるでしょう。
その際は見積もり段階でどこからどこまでを依頼したいのか、つまり木の処分だけをお願いしたいのかその後の樹種選びや植樹まで依頼したいのか、内容をしっかり伝えておくことが後々のトラブルを防ぐことになります。

なお蛇足になりますが、古来より木には精霊が宿ると信じられています。成木を処分する際は、御神酒と塩を木の周囲にふりかけてお清めをしてから行うと良いでしょう。何となく申し訳ないような気持ちも落ち着くと思いますよ。
 

庭木を選ぼう

リンゴなど果樹も魅力的だが、小さな庭では枝張りがスリムな品種を

リンゴなど果樹も魅力的だが、小さな庭では枝張りがスリムな品種を

ここでガイド記事【庭に木を植えるメリット】をちょっとおさらいです。木は「常緑樹」と「落葉樹」とに大別され、葉の状態からも更に細分化され、庭木だけでもたくさんの種類があるんでしたね。
木を選ぶとき、花や紅葉を楽しみたいとか、実がなる木が良いとか、基準は人それぞれでしょう。でも、一番のポイントは、地域の気候や環境にあった木を選ぶということです。前頁で述べたように、処分するには相応の労力が必要になるので、そうちょくちょく植え替えられるものではないからです。
単に花が可愛いから、実がなるからと闇雲に木を植えると、後で大変なことになってしまいます。ですから、樹種選びにはじっくりと時間をかけてほしいのです。

どんな場合も忘れてはいけない点は、「どこに」と「どんな目的で」木を植えたいのかということを明確にしておくことです。
例えば「勝手口前に目隠しに」というのであれば、常緑のヒバの類や落葉してもあまり透けないドウダンツツジなどを、「玄関前にシンボルツリー」をというのであれば株立ちの姿が美しいハナミズキやナツツバキ……というように、植え場所と目的によって樹種を絞り込んでいくことができるからです。

具体的な樹種選びについては、リンク集庭木・花木の種類と育て方も参考にしてみてください。どんな木が地域の気候にあっているのかは、ご近所のお庭が参考になるはずです。 また苗木を取り扱っているお店であれば相談に応じてくれるはずですから、お店の方に一声かけてみてはいかがでしょう。
 

庭木の植え方

植え穴
植え穴は、根鉢よりも大きく掘る
庭木の植え方には、大別して「水ぎめ」と「土ぎめ」という方法があります。一般的には「水ぎめ」で植えつけることが多いので、ここでは水ぎめでの植え方についてお話ししましょう。

まず植え穴を掘ります。穴の大きさは、根鉢の直径の1.5倍くらいを目安にします。穴を掘ったとき、石などのガラや古根があったら取り除いておきましょう。
次に、植える木の向きを見ます。木にも「顔」があって、何度か向きをかえて離れてみると、「ここが正面だ」という所が見つかるはずです。正面が見つかったら、植え穴に木を置いてみましょう。
 
埋め戻す土には、腐葉土や堆肥などをすき込んでおこう

埋め戻す土には、腐葉土や堆肥などをすき込んでおこう

幹の付け根部分が地表部より少し上になるように、穴の中央部に土を盛って調節します。根鉢に巻かれた縄や麻布はそのままで構いません。(ビニール紐など自然分解しないものは、取り除きます)木を据えつけたらその脇に支柱を立て、土を穴の八分目ほど戻します。
 
水鉢を作る
盛り土で水の流出を防ぐことで、根に水分がしっかり浸透する
その後、ホースなどで水をたっぷり注ぎ込みます。土がドロドロのチョコレート状になるくらいが目安です。
この状態で木を軽くゆすって植え穴全体に水をいきわたらせたら、樹の向きを再度確認して残りの土を埋め戻し、株の周囲を踏み固めます。
最後に株の周囲に高さ10cmほどの土盛りをして「水鉢」を作り、たっぷり水を注いで一連の作業は終わりです。
※木を植えてから支柱を差し込むと、根巻きに刺さって根を傷めることがあるので注意しましょう。また、幹に直接縄を掛けたりすると、強風時などで擦れて幹が痛んでしまいます。保護用の杉皮や幹巻きテープ等が売られていますので、その上から縄などで固定するようにします。


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