引越し/引越し関連情報

住民票交付の制限~DV被害者の引越し(2ページ目)

近年増え続ける離婚件数。そんな中、DV被害による離婚を決意したAさんから寄せられたメールをもとに、DV被害による引越しを調べてみました。

執筆者:All About 編集部

引越し先を特定されない方法があった

パートナーの長期出張で時間的に余裕があったAさん。生活に必要なものは持って出ようと考えました。生活に最低限必要なものと自分と子どもの3人分の荷物を見積もると、ダンボール箱に10箱以上ありそう。引越し業者に頼むことにしました。

ここで少し心配になったのが引越し先がわかってしまうのでは?ということでした。「引越しはこっそりしようと考えていました。大手の引越し業者を使って近所の方がその名前を覚えていたりすると、パートナーが簡単に業者を突き止めて、住所を聞き出すだろうと思いました。だから広告に『秘密厳守』と書いてある引越し業者に頼むことにしました。そういう引越しに慣れているのか、個人情報に関して洩れはなかったように思います。秘密厳守と言えば何か謎めいているのですが、実際DVやストーカー被害で悩まれている方の引越しは多いそうです。」
※【注意】運送業務を営むことのできるのは国土交通省へ許可、届出、登録を行っている業者です

住民票はどうすればいい?

引越し、役場
1人で悩むよりとにかく行政に相談してみよう
取りあえずご主人からの暴力を回避するために家を出られたAさん。しかし就学児童がいるAさんは、子どもを学校に通わせるために住民票を移さなければなりませんでした。「住民票のことが気になって仕方ありませんでした。住民票の異動届を出してしまうと、引越し先の住所を知ることなんて簡単なんです。」

引越し先の住所が知れることを恐れたAさんは、行政に相談に行くことにしました。すると思いもよらない回答が返ってきたのです。それは、「住民票交付の制限」という制度でした。これは、本人からの申し出により本人以外の人が住民票の申請に来ても交付しないという制度です。

「住民票交付の制限」とは

引越し、住民票交付の制限
人に知られずに住民票を移すことができるの?
これは、配偶者からの暴力または、ストーカー行為で悩まされている人を保護するために設けられた制限です。これにより本人以外(代理人を除く)の人から住民票の写しや戸籍の附票の交付請求があっても受け付けてくれません。代理人になりすまして請求することを防ぐため、本人確認および請求事由も厳格に審査されるという制度です。住所を知り得る全ての情報に適用されるため、これによって引越し先を特定される危険はありません。

ただし、住民票の制限を受けるためには警察署や配偶者暴力相談支援センターへ相談に行き、所定の申請をする必要があります。くわしくは管轄の市区町村役場でお尋ねください。



その後ようやく離婚が成立したAさん。当時を振り返ってこう言います。「とにかく言えることは自分1人で悩まないこと。親しい人には言いづらいことも第3者だからこそ相談できることも多いと思います。行政には相談窓口があるのでそこを利用するのがいいのでは?DV被害も増え続けているので行政もとても親身になって相談に乗ってくれますし、自分の知らない制度が設けられていることだってあります。貴重な情報が得られると思います。」



【関連サイト】
こちらのサイトでは離婚の問題点から手続きまでさまざまな情報が満載されています。ぜひ参考になさってください。
・All About「離婚」
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