子どもは想像以上に住み慣れた場所への愛着を示す |
今回は、ご近所の一戸建てに引越しされた小学2年生の娘さんをお持ちのご家庭での出来事です。小学校も習い事も以前と変わらず、住み慣れた町で新しい生活をスタートさせたWさん一家。それなのにふと気づくと、わが子の様子に変化が……。
家族みんなが喜んでいると思った引越しだったのに…… |
念願のマイホーム!
Wさんは、かねてから念願であった一戸建てマイホームを購入することになりました。新居は以前住んでいるマンションから数百メートルしか離れていない距離とあって、子どもが転校する必要はありませんでした。周りの環境がさほど変化しないだけ、気が楽な引越しとなるはずだったのですが。いよいよ新居が完成し、引越し準備を始めます。Wさんは娘のTちゃんに自分の荷物は自分で詰めるように言ってきかせました。ところがTちゃんは一向に荷づくりを始めようとしません。他の部屋の荷物はどんどんダンボール箱に詰められていきます。しかしTちゃんの部屋だけはいつもと変わらないまま。ついにしびれを切らしたWさんがTちゃんの荷物を詰めました。
『いくらマイペースといっても、新しい家に移るんだからもう少しうれしそうな顔をしてくれてもいいのに……』。WさんはTちゃんに対して、もやもやとした感情を抱いたといいます。
いよいよ引越しレッツゴー!でも何かおかしい……
引越しの前日です。Wさんは長年住み慣れたマンションで、引越し挨拶を済ませました。小さい頃からいたこのマンションには、毎日楽しく遊ぶお友だちがたくさん住んでいます。一人ひとりに挨拶するお母さんの横で、ひとり手持ち無沙汰にうつむき加減のTちゃん。「Tちゃん、新しいウチは近くだからみんなに遊びに来てもらおうね!」とのお母さんの問いかけにも黙ったまま。何かが少しずつ狂い始めている |
さて午前9時から始まった引越しは順調に進み、Wさんは昼過ぎには新居先へと向かうことになりました。午後3時には荷物はすっかり搬入され、Wさんが荷解き作業に追われているところへチャイムが鳴りました。「あっ、お帰りなさーい」とWさんが玄関口に出ると、疲れた表情のTちゃんがぽつりと玄関口に立っていました。
翌朝起きると「ママ、お腹が痛いから学校休んでいい?」と昨日と同じセリフ。お母さんは何か煮え切らない感情を抱えながらも、Tちゃんの言う通りに学校を休ませることにしました。次の日、そしてまた次の日もTちゃんは学校に行きたくないと訴えました。
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