▼絆
フクロモモンガは、今でもあまり飼っている人がいませんが
7年前も飼っている人は少なく、日本国内の情報が足りないペットでした。
桃太が馴れてくれたときにも思ったものですが、
今はあの時よりももっと強く、なぜこんなに素晴らしいペットが日本では知られていないのだろう。と、思います。
フクロモモンガは頭のいい動物です。
人間を見分け、信頼できる相手とそうでない相手とで態度を代えます。
桃太がもうすっかり私に馴れたと判断した後、私は友達や家族に桃太を紹介したのですが、驚くほどに私と他の人を区別し、ただ眺めているだけでも桃太は私の方にだけ寄って来ていました。
親バカだと笑わないでくださいね。
3ヶ月もの期間、仲良し大作戦をした甲斐があったと私は思ったものです。
そして、私に寄って来る桃太がいとおしく、自慢でもありました。
しかし、この絆の強さは危険でもありました。
我が家には他にもペットが多く、中でも猫たちはじゃれてしまう危険があるため
桃太をケージから出して遊ばせることができません。
桃太は私といっしょにいたいと言う。
でも、私はケージに入れず、桃太をケージから出すこともできない。
群れで暮らす習性のあるフクロモモンガにとっては家族は欠かせない相手。
それなのに私が一緒にいられない。
どうしたものかと悩みつつ、毎晩ケージに手を突っ込んで桃太と数時間遊びながら
私は半年を過ごしました。
その間も桃太はどんどん私になついてき、朝でも昼でもポーチから出て私を誘うようになりました。
ケージの掃除など、寝ててくれた方がやりやすいときでも桃太は私の上に乗っていました。
どうしたらいいのだろう?
悩んだ結果、私は桃太にお嫁さんを迎えることにしました。
姫です。
すぐには馴れないだろう。
そう思って姫様のケージを別に用意し、桃太のケージと並べてみたのですが、
がっかりするくらいに桃太は姫に夢中。
ごはんも食べずに隣のケージに行こうと頑張り、鼻に傷を作るほどでした。
もう立派に大人のオスになっていたのですから当然といえば当然だったのですけどね。
息子をお嫁さんに取られた母親の気分でした。
姫様を桃太と同じケージに入れたところ、
特に問題もなく二人はすんなりと仲良しになりました。
もう私など必要が無いみたい。
そんな風に思ったこともありましたが、これは間違いでした。
桃太と私の絆は簡単に壊れるものではなかったのです。