日本でのペットとしての歴史はまだ短いものの、 その可愛らしい表情とよく飼い主に馴れることなどから 多くの方に飼われているペット、チンチラの飼育本が発売されました。 どちらかといえば飼いやすい、丈夫な動物種でありながら 飼い方により短命に終わることの多いペットでもあるチンチラですが、 飼育書が販売されることでより幸せなペット生活を送れる子が増えるのではないかと 期待しています。
▼チンチラってどんな動物?
チンチラは、南米大陸にあるアンデス山脈に暮らす軟らかく綺麗な毛を持つげっ歯類です。
大きさは片手に乗るくらいの大きさで、かなり友好的な動物です。
悲しいことに、その毛の綺麗さからペットとしての歴史よりも
毛皮としての歴史の方が古く、辛く悲しい過去を持つ動物種でもあります。
▽珍重されてしまった毛皮
チンチラを触ったことのある人なら誰でも知っていることですが、
チンチラはすごく柔らかく、綺麗な毛を持っています。
この毛は、西暦1400年頃に南米にあったインカ帝国の王族に気に入られ、
インカ王族のシンボルとして使われるようになりました。
その後、インカ帝国が滅ぼされると共に、侵略者であったスペイン人によって
チンチラの毛皮はヨーロッパに持ち込まれ、毛皮欲しさにチンチラ狩りが始まったのです。
毛皮を目的としたチンチラ狩りにより、一時期チンチラは絶滅の危機にあいます。 20世紀初めにチンチラの捕獲・輸出は禁止されたのですが、 高く売れるために密猟する人が100%いなくなるわけもなく、 今ペットとして売られている種類(オナガチンチラ)とは違う種類のチンチラ、 タンビチンチラは山の上ではなく低い場所に生息していたために捕獲されやすく、 絶滅したと言われておりました。
オナガチンチラは、絶滅する前にアメリカ人によりアメリカに運ばれ、 そこで毛皮用に繁殖されます。 「毛皮用」と言うと顔をしかめられる方もいるかもしれませんが、 これによりチンチラの飼育技術・繁殖技術(毛色の出し方)は研究され、 また、今日ペットとして飼われているチンチラの祖先も助けられたのです。
▽チンチラを飼うために必要なこと南米のアンデス山脈の高地に生息していたチンチラは、 温度、湿度共に低い環境が必要になります。 湿度の高い梅雨・夏のある日本の気候下においては、 温度・湿度管理ができる環境を与えてあげる必要があります。
昨年の夏のように猛暑となると、悲しいことに暑さにより亡くなったチンチラの話というのが 聞こえてきてしまいます。チンチラを飼う場合には、エアコンは必需品だと考えて下さい。 温度・湿度管理をせずに日本の梅雨~夏を乗り切れるチンチラはいません。
「エアコン入れなくてもうちのチンチラは大丈夫よ」と言われる方がたまにいますが、 それは温度が40度でも私たちがバテながらも生き延びられるのと同じことです。 その日を生き延びることはできても、長生きはできなくなってしまいます。 チンチラのことを思うなら、彼らが快適に過ごせる温度を作ってあげて下さい。
▽飼う上で注意すべきことチンチラはげっ歯類の仲間です。 強い歯を持っていますので、いろいろな物を噛み壊すことができます。 巣箱やエサ入れは消耗品と思い、チンチラが食べてしまうことがあっても 安全な、薬品や接着剤等が使っていないものを選んであげましょう。
室内で遊ばせる場合には、噛んでしまうと危険な電気のコードや プラスチック製品等はチンチラが噛まないようにしないといけません。 ケージから出した時にはほったらかしにするのではなく、 常に注意して、危険な物がないようにしてあげて下さい。
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