しかし、両生類の世界って大変ですね...やっぱり、世界中の両生類っていまや存亡の危機に立たされているのでしょうかねぇ...
と、そう。先日、またまた私たち両爬ファンのみならずとも驚かされてしまったニュース
「国内でラナウィルスよるウシガエルの大量死発覚」
です。
今回は、また客観的にかつ冷静に、この両生類を襲った「ラナウィルス」について解説です。何より、この記事の目的は「わかっている事実」を知識として知ってもらうことですので、そこのところはヨロシクです。
ニュースのあらまし
このニュースは2009年2月28日に流れたニュースです。ニュースで報道されたことを箇条書きにすると
- 2008年9月10日から10月にかけて、国内の某所の人工池でウシガエルの幼生や上陸直後の幼体が一日に数千尾、合計1万尾以上の個体が斃死していた
- 麻布大学の宇根先生が調べた結果、遺体からラナウィルスが検出された
- ウシガエルの死因はラナウィルスが原因だと考えられる
- このラナウィルスは、昨年台湾でウシガエルから見つかった新種と似ている
ラナウィルスとその被害
ラナウィルスは、感染すると主に両生類や魚類を死に至らしめる病原生物で、生物学的にはイリドウィルス科というグループに属するラナウィルスRanavirus 属に分類されるウィルスの総称です。ラナウィルス電顕画像 |
画像提供:麻布大学 |
その感染が確認されている種類は名前からわかるようにアカガエルの仲間であるRana 属だけにとどまらず、オオヒキガエルやアフリカツメガエル、そしてタイガーサラマンダーやスポッテッドサラマンダーのような有尾類に至ります。
1985-1991年の間にヨーロッパで年間数万匹のペースという異常なスピードでヨーロッパアカガエルが減少したことが問題になりましたが、これもラナウィルスによるものとわかっています。
一方、日本の国内では両生類の被害は知られていませんでしたが、同じイリドウィルス科のウィルスによって西日本各地でマダイを中心とした養殖場が大きな被害に遭いました。これはウィルスによる養殖魚への最大の被害とされています。
つまり、今回のウシガエルのラナウィルスによる大量死は、日本で初めて確認された両生類のラナウィルス感染症ということなのです。