5.ケガを極力していない
なんか当然のようなことをビミョーな書き方でスミマセン。ケガ=キズもの、であることは当たり前なんですが、両爬の場合は「そんなに神経質にならなくても良いキズ」というのがあります。これはちょっとグループごとに見てみたいと思います。
・カメ類
カメは基本的に頑丈な生き物ですから、目立った「ケガ」を負っているということはあまりありません。もっとも気になるのは、水生ガメの「背甲・腹甲の小さな外傷」でしょう。
カメの場合は輸送の時などに、背甲どうしがこすれあったりして、どうしてもついてしまいます。そこから雑菌が侵入しその周囲が壊死したり、潰瘍状に白っぽくなったりしてしまいます。
これらのキズは、もちろん放っておいたら悪化してしまいますが、清潔な環境で飼育したり、抗生物質を塗布したり、ちょっとしたノウハウで治すことができます。ですから、購入時にそれほど神経質になる必要はないと思います。ただし、傷跡はどうしても残ってしまいます。また四肢などにあるキズ背甲などの辺縁部が欠けてしまっているような場合でも同様です。
またリクガメでは「指の欠損」あるいは「爪が剥がれている」といった場合もあります。
これも、著しく化膿して腫れ上がっていたり、元気がなくてエサを食っていなかったりなどという症状がなければ、それほど神経質になることはないでしょう。特に完全にキズがふさがっているのならば心配はありません。
カメ全般に見られる例ですが「多甲」「甲ズレ」といった「甲板の奇形」というのがよく見られます。
これらの詳しい原因はよくわかっていないのですが、主に卵の時の温度管理に関係が深いようで、遺伝的な現象ではないことが多いようです。ですから、自分が気にならなければ神経質になることはないと思います。
ただ、甲板に奇形が見られるということは脊椎骨や肋骨にも似たような奇形がある可能性も否定できませんので、なかなか判断が難しいところではあります。
・トカゲ・ヤモリ類
何よりも「尾の欠損」が気になるグループですが、当然「再生」能力を持っている種類ならば気にする必要はありませんし、再生しない場合は、そこで切れてしまっているだけですから神経質になる必要はありません。ヤモリの仲間なんてWCならほぼすべてが採集時に自切しているのが当たり前でしょうから。
またアガマの仲間やヨロイトカゲの仲間などは「指の欠損」が見られることが多いです。これにはさまざまな理由が考えられるのですが、神経質になることはありません。一本、二本は当たり前!くらいの気持ちの方が一期一会を逃さなくてすむかもです。
トカゲ類の行動をフィールドで観察するときに、個体識別のためのマーキングをするのですが、この時に「指を切り落として」マーキングするのが一般的なのです。もちろん、生き物に対する倫理的な問題で、代用案を研究者たちは模索しているのですが...つまり、トカゲの仲間は指が1本や2本なくても野生で健康に暮らしていくことができるのです。ですから大切に飼育していく環境ならば、あまり神経質になることはなくていいのです。
・ヘビ
ヘビは特にWCであろうと、目立った外傷というのはないようです。脱皮不全が原因で尾の先端が欠損することもあるようですが、これも神経質になることはないでしょう。
・両生類
もともと外傷に弱い両生類ですから、ケガには神経質になってしまいますが、逆に爬虫類とは比較できないくらいの再生能力も持っていますので、基本的に「先端部」のケガ程度ならば、見た目が多少ひどくても、適切なケアをすることによって問題なしになるといっていいでしょう。つまりよくあるのは「鼻先のこすれたキズ」「指の欠損」がこれにあたります。
清潔な環境で飼育すれば、よほどひどくない限りはそのうちに治ることが多いのです。
すべてのグループに言えることですが、逆に「再生能力がない部位をケガしている個体」は避けた方がいいと言えます。例えば「眼球の異常」はその時は致命的でなくとも、視力の低下による生活の不具合が原因で徐々に弱っていくことは考えられます。