一昨年の特定外来法施行におけるキョクトウサソリ科全種の特定外来生物指定により、かなりテンションが下がってしまった感の否めない蟲飼育のホビーですが、それでも情熱は冷めていなかったようです。
昨年末に、実はスゴイ本が出版されていました。
みなさんご存知かと思っていたのですが、私の身近な蟲ファンがこの本のことを知らなかったようなので、ちょっと今回は改めて、ご紹介しましょう。
それが「節足動物ビジュアルガイド タランチュラ&サソリ」です。
ビジュアルガイドシリーズ
すでに両爬ファンにはおなじみの誠文堂新光社が世に送り続けているビジュアルガイドシリーズですが、何を思ったか今度は節足動物ビジュアルガイドシリーズをはじめたわけです。ビジュアルガイドシリーズは、完全に飼育愛好家をターゲットにした図鑑ですが、一部のシリーズを除いて、着実に愛好家必携の書となっています。
その特徴は
・豊富な掲載種類数
・不必要とも思えるほどの詳しい解説
・飼育法を視野に入れた情報
・美しい写真
・研究者ではなく一流のハイアマチュアによる執筆
ではないでしょうか。
残念ながら日本語の図鑑ですので、世界のファンに知られるには不利ですが、間違いなくあらゆる面で世界中でもトップレベルになっています。
しかも、これが2800円という破格な安価ですから、こんなところにもデフレの波が押し寄せているのかもしれません。この情報量で、この価格ですからものすごいコストパフォーマンスと言えるでしょう。
そんなビジュアルガイドシリーズですがヤドクガエル、カメレオンから始まって、昨年秋のオオトカゲ、有尾類を出すことで一段落したと言えるでしょう。
そこで、今度は共通のファンも多い「蟲」シリーズとも言える「節足動物ビジュアルガイド」が始まったのですから、誠文堂新光社の思い切りのよさにも感心します。と言うか、ある意味あきれてしまいます。
内容
今回のビジュアルガイドは、蟲の中でも人気を二分する「タランチュラ」と「サソリ」を紹介しています。タランチュラの本といえば、当時「このネタで本を出版するのか!?」と世のファンを仰天させ、そして喜ばせた冨水明氏の「タランチュラの世界」がナンバー1でもありオンリー1でありました。
今度のビジュアルガイドも、もちろんそのベクトルを引き継いでいるのですが、掲載種数、解説の詳しさという点で上回っています。
掲載種数はタランチュラが約140種、サソリは約55種です。生体の解説ページはいつものようにカラー写真をふんだんに使ったオールカラーです。もちろん、もはや飼育両爬撮影の第一人者である川添宣広氏による、迫力と蟲の魅力である美しさが十二分に表現された多くの写真は見ているだけでも楽しいものです。
さて、次のページでは今回の図鑑の見どころをもう少し具体的に見てみましょう。