セマルハコガメVSエリマキトカゲ?
今回のガメラは今までのガメラと異なり、卵から孵化した子ガメラ時代から登場します。
ご存じの方も多いと思いますが、この子ガメラ時代を演じるのがケヅメリクガメGeochelone sulcataです。なんでも撮影のために13匹のケヅメリクガメたちが集められたとか。ちなみに、今回は本物のカメとしてケヅメリクガメが登場しますが、実は初代のガメラでも本物のカメが登場しているんです。それがなんと「ミドリガメ」。もう今から40年も前に日本に輸入されていたんですねぇ...閑話休題。
ケヅメリクガメ成体 | |
写真提供:オーナーズフィッシュ |
さて、このガメラですが、最初はケヅメリクガメのようなカメだったんですが、着ぐるみになると、どうしてもセマルハコガメCuora flavomarginataに見えちゃいます。わざとかもしれないんですが。
一方、ジーダスはたぶんエリマキトカゲChlamydosaurus kingiiがモデルでしょう。ですから戦っているシーンは、「正義の怪獣ガメラVS海魔獣ジーダス」というよりも「セマルハコガメVSエリマキトカゲ」なんですよ。両爬ファンとしては。
正義の怪獣ガメラVS海魔獣ジーダス ©2006「小さき勇者たち~ガメラ~」制作委員会 |
セマルハコガメVSエリマキトカゲ |
カメとしてのリアリティ
本物のカメを登場させていることでリアリティを追求している部分も多く見られます。成長したガメラの着ぐるみもきちんと背甲の肋甲板や椎甲板の配置や数が、本当のカメ類のそれを再現しています。今までのガメラは背甲は鱗状でしたから。それと、ぜひ気づいて欲しいのが、卵から孵化したばかりのガメラに「卵嘴」があることです。卵嘴は、爬虫類が孵化する時に卵を内側から割ったり、切り裂いたりするのに使われる歯のような突起です。吻端に生えているのですが、孵化してしばらくしたらとれてしまいます。この卵嘴がきちんとガメラにもついているのは見どころでしょう。
ケヅメリクガメを安易に飼育することへの警告
今回の映画についての情報が登場してから、多くの両爬ファンのみなさんは私同様に心配していたことがあったと思います。
幼いガメラに「本物のケヅメリクガメ」を使っていることに対してです。
つまり、映画を観た子どもたち(子どもに限らないのですが)が「ガメラ欲しいよ~」と言い出して、ペットショップでケヅメリクガメを安易に買ってしまうのではないか、と。
リクガメの多くは、初心者がなんの知識も持たずに飼育をし始められるものではありませんし、何より地球上で3番目に大きなリクガメです。安易な飼育開始は、絶対に慎むべき生き物であると言えます。そういうことを知らず、ケヅメリクガメのベビーが大量に輸入され、ここがチャンスとばかりに販売されてしまって、結局不幸なケヅメリクガメたちが増えてしまうのでないか、と。
しかし今回の映画ではその部分は重視しているようで、撮影に協力したレプタイルクリニックの小家山先生が公式サイト上でも、映画のスタッフロールの最後にも「安易な飼育をしないように」というメッセージで注意を促しています。さすが。
All About両爬ガイドによるケヅメリクガメの解説はコチラ
私が観た時も、映画館から出てきた子供たちが「ガメラ欲しい」などと言っていましたが、映画館の売店で売っていた「ガメラのぬいぐるみ」でも十分に子どもは喜んでいましたので、それでも満足であるようです。「本物の」ガメラであるケヅメリクガメをお子さんに買い与えるのは、ぬいぐるみを買った後に、しっかりとケヅメリクガメの飼育のことを勉強してからでも、決して遅くありません。世のお父さん、お母さんはぜひ、そうして頂きたいと思います。
とにかく、そういうわけで私の特撮魂をガツンと刺激した映画『小さき勇者たち~ガメラ』は、特撮ファンが観ても、一般の方がご家族連れで観ても、そして両爬ファンが観ても安心な、傑作映画であると太鼓判です!!
<関連サイト>
角川ヘラルド映画株式会社
All About「映画」ガイドサイト from All About
リクガメ from All About 両爬サイト
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