久しぶりの、両爬飼育入門「新・両爬飼育コトハジメ」であります。
ご存じのように、私はどちらかというとフィールドで両爬と出会うことを得意としていますし、地方に在住していることもあってあまり両爬ショップの方と顔を合わせて生体などを購入することがありません。ですが、やはり多くの方はショップで両爬を購入するでしょうし、ショップ選びに苦労される方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、文字通り「初級者の方」向けに「はじめてのショップ選び」をテーマにコトハジしてみましょう!
両爬ショップ選び
確かに、買い物をする時ってお店選びはとても重要ですよね。ましてや高い買い物をするのなら、そのお店が良心的な店なのか、それともこちらの財布の中身にしか興味がない店なのか、そういうことを見極めるのは大切なことでしょう。もちろんペットショップだってそうだと思います。
でも、ちょっと待ってください。両爬のショップ選びも一緒でしょうか?
両爬の趣味って、狭そうで実は対象が非常に広い趣味であるような気がします。対象が分類学で言うところの「綱」のレベルまであるし、繁殖を目的に飼育をする人もいれば、コレクター的な人もいるし、あくまでパートナーとして両爬を求めようとする方もいるわけです。
ですから、ショップだってその人たちすべての要求に応えられるように(もちろんできればいいんですが)することは至難の業でしょう。
例えば一般的な、買い物のためのお店選びを両爬ショップに当てはめて考えてみましょう。
・品揃えがいい
両爬の場合は、さまざまな種類を数多く置いている、といったところでしょうか。
・品質がいい
両爬の場合は、生体の状態がいい、という感じですね。
・アフターサービスがいい
飼育に関する知識などが多く、飼育後も頼りにすることができる、という感じです。
・マナーがいい
ショップの方の人柄でしょうか。
・安い
そのまんまですね。
じゃあ、初級者の方から「どんなショップで買えばいいでしょう?」と聞かれて私たちは「いろいろな生き物がいつも置いていて、どれも状態が良く管理されていて、店員さんも詳しくて人柄が良くて、生体の価格が安いショップで買うといいですよ」なんて教えられるでしょうか?そんな都合のいい店ってありますか?
やっぱり生体の状態が良ければ、それなりの手間をかけているのですからコストはかかります。商品、つまり生体はほとんどの店で卸業者から入手しているわけですし、ショップのコンセプトもありますから得意分野・不得意分野が出てきてしまうでしょう。
それから、今後は動物愛護法の改正により、ショップの営業許可のハードルが高くなりますので、自然とショップのレベルは上がっていくはずですので、いい加減な経営や販売をしているところはなくなっていくはずです。
何より、私は「性善説」派の人間ですので、最初から客を騙したり、たかり尽くしてやろう、などと考えながら商売をしているショップなどはないと考えています。
購買側の心構え
何にしろ、こちらが購入するのは「命があるもの」ですから、購入する側にも心構えというか覚悟が必要です。電気製品のように、決まった部品を決まった方法ですべてが同じになるように作られているわけでもありませんし、料理のようにベテランの技術者が心を込めて作ったモノでもありません。
生き物なのですから、寿命もあるし目に見えないダメージを負っている個体もいるでしょう。自然下でさまざまな寄生虫や菌類、ウィルスを体内にたくわえているのも当然です。
どんなにしっかりしたショップで購入してもあっという間に死んでしまうかもしれません。またショップにいる間は餌を食っていたが、自分の家で飼育をはじめたら全然、餌を食わなくなってしまった(飼育環境に問題があるのでしょうけど)なんていうことも十分あり得ます。それらはまさに想定の範囲内である、と覚悟をしておくのが生き物を購入する、ということです。
私も幼い頃からさまざまな生き物をショップから購入していました。例えば子供の頃にゲンジボタルを購入して、何もしないまま(当たり前なんですが)一週間ですべて死んでしまった経験などもあります。こんな経験をしていると「飼育下で命を永らえてくれて、本当にありがとう」などという気持ちにもなります。
ですから、今でも、どんな有名なショップで購入しても「すぐに死んでしまうかもしれない」とか、通販で買っても「死んで到着してしまうかもしれない」という最悪の事態は常に覚悟していますし、仮にそうなったとしても、基本的には誰の責任でもないと思っています。もちろん明らかにショップの責任であることもありますが。
ですから、そういう考えられるリスクの可能性を、限りなく少なくしていこうと努力しているショップは、初級者の方におすすめできるショップであると言えます。