ずーっと、このネタを書こうかどうか悩んでいたんですが、この記事を書いている昨日もまた全国のニュースになってしまっていたので、もう我慢できなくて書くことにしました。
そう。なぜか9月くらいから突然、急に増えた印象がある「両爬の遺棄・脱走・保護」のニュースです。
職場でもいろいろと冷やかしで聞かれるし、ガイドとしてもコメントを求められる機会とかあるし、ちょっとここら辺で私も、この件に関して自分自身の考えをまとめてみようかと思います。
最近の脱走・保護ニュース
9月からの両爬(蟲含む)の遺棄・脱走・保護のニュースをざっとピックアップしてみましょう。
・マンションにダイオウサソリ(大阪・9/8)
・3.6mのビルマニシキヘビが河川敷に(埼玉・9/9)
・新宿でボールパイソン脱走(東京・9/13)
・駅のホームにボールパイソン(埼玉・9/14)
・民家の庭にイエローファットテールスコーピオン(?)(岡山・9/27)
・押入からボールパイソン(東京・10/6)
・林道にボールパイソン(石川・10/6)
・玄関にボールパイソン(神奈川・10/7)
・道路にオオサンショウウオ(神奈川・10/8)
・アパートにカリフォルニアキングスネーク(京都・10/17)
・駐車場にグリーンイグアナ(福岡・10/19)
あと、ネット上で記事を見つけることができなかったんですが、これ以外にも確かカミツキガメ関係とグリーンイグアナ関係の記事が数件あったと思います。
特に今回は「ニシキヘビ」ということでボールパイソンがえらく注目されてしまいました。まあ、ボールに限らずこれだけ重なってしまえば、もちろん騒がれてしまって、ますます私たちのような両爬飼育愛好家は肩身が狭くなってしまうのは言うまでもありません。
しかし、この重なり方って何か背景があるんでしょうか?
取材なんかでも、よく聞かれるんですが、私は
「『特別な』背景はない」
と考えています。
ボールパイソンの背景
特に今回目立ったボールパイソンですが、今までこんなに話題になったことはありませんでした。昨年一年間でニュースになったボールパイソンの遺棄・脱走・保護のニュースってたぶん1件かそんなものだったでしょう。ところが今年は9、10月のたった二ヶ月間で5件です。あくまで単純に考えれば30倍の発生率です。ということは飼育者、あるいは流通量が30倍になっている、と考えてもいいでしょうか?
流通量はともかく飼育人口がそんなに増えたとは考えられません。ショップの方などに聞いてもそこまで飼育人口が増えたという答えは聞けませんでした。
確かにボールパイソンは5年くらい前を境に安くなったり、流通量が増えたようには思えます。しかし、それ以前でも爬虫類を扱っているペットショップや観賞魚点などでWC(野生採集個体)が1万円以下で販売されていました。決してここ最近、急に価格が安くなって買い求めやすくなったわけではないと思います。
ただ、かつてはストック状況が悪いWCが多く、立ち上げや飼育が難しく気むずかしいイメージであったボールパイソンを取り巻く環境に大きな変化があったのは事実です。
基本的な変化は次の3点でしょう。
1.飼育方法の確立
第一にアメリカでCB(飼育下繁殖個体)化が進んで飼育方法が安定し、飼いやすくなった。
2.新品種の誕生
第二にアメリカで新品種(モルフ)の作出が軌道に乗り、高価な新品種から、不要になったノーマル個体まで大量に流通した。
3.FHの流通
第三にCBのベビーから飼育することで飼いやすくなることがわかってから、WCが現地や仲介国のファームで産卵し孵化したベビー(FH:ファームハッチ)の需要が増え流通量が増えた。
しかしこのような変化が今回の騒動の原因のすべてではないでしょう。
例えば、単純に考えればボールよりもコーンスネークの方が飼育者が激増しているイメージが、私にはあります。ところがコーンスネークのニュースはほとんど聞くことはありません。