ちょっと今月は遅くなってしまいましたが、この記事がアップされる頃は、すでに残暑の季節となってしまうでしょうけど、ま来年の8月のフィールドに役立ててもらうとして、暑い夏の避暑になりそうな今月のフィールディングです。
で、今月はというと、夏真っ盛りのこの時期に本当の意味での涼を求めたフィールドに行きましょう。
そこは...「渓流」であります。そう。今月は山の中の小さな沢に入って流水性サンショウウオに会いに行ってみましょう。
なお、始めにお断りしておきますが、流水性のサンショウウオの飼育は冷却の工夫と常に正常な水を維持し、上陸後も高温に非常に弱いので止水性以上に安易な飼育はすすめられません。ですので、今回の記事はあくまでも避暑を兼ねて現地で観察することを目的としております。ましてやなんとかの一つ覚えみたいに大量に採集し、オークションに出したりショップに卸したりすることを目的とするような方は読まないで下さい。
逆にサンショウウオをショップで購入したり、オークションで購入したりするような方たちはぜひご一読下さい。自ら山の中に足を運び、苦労をして見つけることができたときの感動を味わうこともサンショウウオ飼育の醍醐味であることが、きっとわかっていただけると思います。
流水性サンショウウオ
サンショウウオを見に行くフィールドのススメは「2月のフィールディング」でお話ししましたが、あの時は「止水性サンショウウオ」でありまして、今月は「流水性サンショウウオ」であります。さて日本は有尾類大国であることは、以前の記事でも書いたと思いますが、そのそのうち山の中の渓流に産卵し、幼生時代を過ごす種を一般に流水性サンショウウオと呼んでいます。
ブチサンショウウオ成体 |
・ハコネサンショウウオ
・ヒダサンショウウオ
・ブチサンショウウオ
・オオダイガハラサンショウウオ
・ベッコウサンショウウオ
あたりが含まれます。生息環境を考えればオオサンショウウオも含めてもいいかもしれません。
北海道と九州以外の本州の広い範囲と四国の山地渓流にはハコネが分布しています。次に分布が広いのが関東以西から中国山地のヒダ。近畿から九州の広い範囲に分布するのがブチ。紀伊半島と四国、および九州の一部に生息するのがオオダイガハラ。そして九州の中央山地にのみ分布するのがベッコウです。
どの種類も美しい種類とされ、サンショウウオマニアの憧れの種にもなっています。
なぜこの時期に流水性?
地域や種類によっても異なるのですが、一般に流水性サンショウウオは春から初夏にかけて産卵を行います。その後、夏の間に渓流で幼生は成長していきます。ただしどういう理由からか、幼生のまま越冬を行う個体もいます。ところで止水性もそうなのですが、サンショウウオほど自然で成体と出会うのが難しい両爬もいません。特に流水性に至っては、コツもわからずに成体を探し求めても宝くじに当たるよりも低い確率でしか出会うことはかないません。
流水性のサンショウウオたちは産卵を終えると山の中に帰っていくのですが、その間の彼らの生態というのはほとんどわかっていないのが現状です。ごくまれに林道横の石などをどけると発見される程度です。
また唯一、成体と出会うことができるチャンスが産卵場所に集まってくる産卵期ですが、これまた彼らはほぼ河川の源流に近い場所のさらに大きな石や伏流水の中で産卵を行うため、産卵期に沢に行ったからと言って、出会うことができるとは限りません。
ベッコウサンショウウオ幼生 |