爬虫類・両生類/フィールドワーク

六月 ドライブセンサス

今月のフィールドのすすめは「ドライブセンサス」についてです。?ん?何?という方はぜひ読んでください。守らなきゃいけないこともたくさんありますが。

執筆者:星野 一三雄


全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!!

どうも、最近「星野の記事はフィールド関係ばかり」なんて声も聞かれているのですが、もうしばらくお付き合いを。だって梅雨に入って鬱陶しいこの季節も、両爬に出会うためには最高の季節であると言えるんですから。
特に、この時期はヘビが本格的に動き始める時期です。特に夜間の気温も高くなってくるため夜行性のヘビも見つけやすい季節でもあります。
ただ、夜行性のヘビに限らずヘビと出会うためには、よほどヘビが高い密度で生息するポイントへ行かないといけません。
そこで今月は、最も能率的で、うまくすればとんでもない種類のヘビや他の生き物たちと出会えるかもしれないフィールディング「ドライブセンサス」のススメです。

ドライブセンサスとは


DriveCensusは私たちフィールド人の造語であります。直訳すれば「車を走らせて路上の両爬を一斉に調査すること」とでもなるでしょうか。
つまり林道や山道、沢沿いの車道などをゆっくりと車で巡回し、路上に出ている両爬を調査する方法です。何といっても自動車を使うわけですから機動力が違います。1時間も車を走らせれば10~40kmくらいの距離を一気にフィールディングできてしまうわけですから、フィールディング界の地引き網のようなモノです。

ヘビ探しにはドライブセンサス


ドライブセンサスはヘビ探しに絶大な効果を発揮します。
ヘビは意外にフィールドでは出会うことが少なく、いつもフィールディングの時は「大物」扱いです。本来は隠れるのが上手な生き物ですし、生態系での位置が上位ですから個体数や生息密度も決して高いとは言えません。
ところがヘビはときどき路上に出てきます。路上に出てくるのには以下のような理由が考えられます。
・日光浴や体温を上昇させるため
・路上で轢かれたカエルやミミズを食うため
・ただ単純に移動のために道路を横切る
などです。
もちろん、ヘビが路上に出ているときに車で通りがかることなど、本当は数万分の一の確率の奇跡のような事ではあるでしょうけど、長い距離を移動することによって、出会う確率も増すわけです。

またシロマダラやタカチホヘビなどの夜行性のヘビは夜間にやみくもに探してもなかなか出会えるものではありません。そこで、ひたすら夜道を走らせることによって彼らのようなレアなヘビと出会えるチャンスを作ることができるのです。

さらに、これは慣れない方には決して真似して欲しくないのですが、マムシのような毒ヘビも道路のようなオープンスペースに出ているような個体ならば、比較的安全に観察することができます。

ドライブセンサスの準備


●車
もちろん車は必要です。
以下の条件をクリアする車がドライブセンサスに向いていると言えます。

・オートマチック車
低速での長距離運行になりますので、いちいちクラッチを繋いだりしていたら面倒ですから。

・車高が高い
車高が高いと視界が広くなります。また乗り降りも楽です。路上に落石などがあっても車にダメージを受けることもありません。

・フロントノーズが短い
つまりボンネット部分が短ければ、やはりそれだけ視界が広くなります。

・ヘッドライトが明るい
言うまでもなく明るい方が路上のモノを発見しやすくなります。高輝度バルブのものならなおよしです。

・燃費がいい
これも当然ですが、山の中でガス欠になったり、島などでは夜間にガソリンスタンドが開いてないことなども多いですから。

というわけで私のサバンナRX-7なんてもっとも向いていない車であるといえるでしょう。

●懐中電灯
夜間のドライブセンサスでは懐中電灯は必需品ですが、これは蛍光灯タイプのモノを使った方がいいです。何かを路上で発見してから通り過ぎてしまった場合、暗闇の中でスポットタイプの懐中電灯では目標のモノを探し出すのが難しいからです。蛍光灯タイプならば、広い範囲を照らせますので発見が早くなります。

●スネークフック
hosino's hook
星野の愛フック・沖縄の名匠T氏による業物「MURAMASA」数々のロードキルを拾い上げた...


捕獲するにしても、写真撮影をするにしてもヘビをうまくコントロールするにはフックが一番です。ロードキル(路上礫死体)もフックで引っかけて、道路脇の藪の中に移動してあげられます。

●免許証
運転するんですから当然です。特に夜間のドライブセンサスは怪しいことこの上ありませんので、必ず警察官に呼び止められますし。
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