さて、これらの平地性小型サンショウウオですが、この2月は彼らの繁殖シーズンの始まりなのです。特にオオイタサンショウウオなどは12月下旬から繁殖を始める場所もあります。
彼らは繁殖期以外は森林などに散在していますし、ほとんど歩き回ったりしません。ですから繁殖期以外で彼らの姿を観察するのは、偶然に頼る以外にはないのです。
私も、今までかなりこれらの小型サンショウウオを探して歩き回りましたが、繁殖期の繁殖場所以外では出会ったことはありません。
ですから、この時期こそがフィールドでの彼らの姿を観察する最良の時期なのです。
彼らの産卵場所は先月のアカガエルのそれと似ているのですが、比較的暗い場所や狭い場所に産卵する場合が多いようです。特に山あいの休耕田の周りにある小さな水路などはポイントでしょう。水を流しているでもなく、部分部分にたまった小さな水たまりを利用することも多いようです。
こんな場所がサンショウウオの産卵場所!! |
平地性小型サンショウウオたちの卵嚢は種によって特徴があり、カスミなどは想像以上に長いひも状、クロは乳白色の幻想的な卵嚢です。
また繁殖期の最盛期ならば卵嚢の近くに成体が見られることもありますので、ぜひ探してみましょう。そんな成体は、昼間ならばほとんどがオス個体です。つまりオスはずーっと水の中でメスを待っている場合が多いのです。
ですから、夜まで待っていればメス個体があらわれ、情熱的な繁殖行動が見られるかもしれません。
オオイタサンショウウオの卵嚢 |
一部に熱心な愛好家が存在する小型サンショウウオですが、決して売買目的で卵嚢を根こそぎ持って帰るようなことはやめましょう。各地で生息環境の悪化によって減少している生き物たちです。飼育の計画も立っていないのに持ち帰るようなことも避けましょう。
また、保護区域などになっている場所も多いので、そのような場所での採集などは論外です。
◇卵嚢・卵塊の扱いに注意
特にサンショウウオの卵嚢は木の枝や枯葉などに卵嚢の末端をくっつけている場合が多いのですが、うっかりそのような木の枝などを水から出したときに卵嚢が外れてしまう場合があります。それが直接の原因で卵が死滅するようなことはないようですが、悪影響があることは考えられます。
ただでさえ小型サンショウウオたちは受精率が悪いので、不必要に水の中から取り出さないようにしましょう。
図鑑でしか見たことがなかったサンショウウオの個性ある卵嚢は、実際に目にすることができただけでも感動することは間違いありません。
持って帰りたい衝動に駆られるのは当然ですが、ここはぐっとガマンして一年間飼育の計画を立ててからでも遅くありません。きっと来年も彼らは同じ場所で産卵をしてくれるはずですから。
<参考サイト>
サンショウウオ属(びっきぃとやまどじょう)