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帰化動物を考える!! カミツキガメのガメラ

ある町で、野生化したカミツキガメに出会った友人から聞いたお話です。そのカミツキガメは町の方々に愛されていました。

執筆者:星野 一三雄

全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!!
さて、今回はとある町にいるカミツキガメのお話です。

▼カミツキガメのいる町
場所は日本海側のある町です。私の友人が、その町を訪れたのは今年の9月でした。
その友人は、とてもおいしい日本海の幸を食べるために、毎年その町を訪れているのですが、実は今まで「そのカメ」のことを知りませんでした。

その友人が、何となく訪れた古いお堀。
そのお堀は、休日の昼下がりに町の方達の憩いの場になっているのかお年寄りや小さな子供たちが集まり、お堀にいるハクチョウやアヒルやコイたちに餌を与えている姿が見られました。

私の友人も生き物が好きですから、自分もその餌やりの輪に入るためにお堀に近づき水面をのぞきました。
水面には、コイやアヒルの姿に混じってカメの姿も見られました。クサガメや誰に捨てられたのか大きく育ったミドリガメの姿も多く見られました。
ところが、その中に一匹のちょっと変わった大きなカメの姿が見られました。その大きなカメも、ミドリガメと比較して、お世辞にも上手いとは言えないジタバタした泳ぎで、ミドリガメやアヒル、コイたちにもみくちゃにされながら一生懸命に餌を追いかけ回していたのです。
その不器用な泳ぎの大きなカメが「カミツキガメ」であると知ったのは、旅行から帰って私に聞いてからでした。

▼愛されるカミツキガメ
そのカミツキガメはとても町の人たちに愛されています。
その友人は、餌を投げ入れている小学生に聞きました。
「あのカメは?」
小学生は「あれはね、『ガメラ』だよ。3年前から1匹だけこの堀に住んでいるんだよ。」
ハクチョウやアヒルに混じってもみくちゃにされている「ガメラ」に向かって、餌を投げ入れていた別の小学生が
「ガメラはね、ソーセージが好きなんだ。」
と言うと、どこから持ってきたのかソーセージを「ガメラ」の近くに投げ入れました。
小学生が言うように「ガメラ」は首を伸ばして水に落ちたソーセージを水中で食べて、また大きな口を開けてぷかぷかと橋の下の水面に浮かんでいます。

それを興味深く見ていた友人に小学生が気を遣ったのか
「ガメラはね、外国のカメなんだよ。」と誇らしげに教えてくれます。
「顔がおっかないよね。でも、怖くないんだ。餌を見ると寄ってくるんだから。かわいいヤツだよ。」
別の小学生は「僕なんか、給食で嫌いな鶏肉が出ると、こっそり残して『帰りにガメラにやろうぜ』ってみんなに言うんだ。」

友人は、通りすがりの町の人にも聞いてみました。
ある方は「よく知っているよ。年とったゼニガメかスッポンじゃないの?」と。
またある方は「外国の高いカメなんだろ?誰かが逃がしたんだろうねぇ。」とかなり確信に近い推測をされていました。しかし、誰一人としてそのカメが「危険な」カミツキガメとは認識していなかったようです。その町の方にとっては「餌を放るとアヒルたちと一緒に食いに来る『ガメラ』」でしかないようなのでした。
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