さて今回の鹿児島県によるオビ・イボ・イシカワの3種に対する規制ですが、さまざまな情報が錯綜しました。で、結局どういうことなのか、と言いますと。
4月22日をもって県の天然記念物に指定されたため、以後採集・飼育は禁止、違反した場合は罰則規定により、罰せられます。
イボイモリ(徳之島産)平成13年12月7日撮影 写真提供:佐久間 聡 |
◇二つの条例
実は今回、どうして複雑な状況になったのかというと、この3種の保護に関して「二つの条例」が関係したからなのです。
ひとつは新聞が先駆けて、その施行予定を報道された「鹿児島県希少野生動植物の保護に関する条例」です。管轄は環境保護課です。
この条例は平成15年3月25日に公布され、同年4月1日から施行されました。
この条例では「県内に生息し又は生息する希少な野生動植物の保護を図る」ことを目的のひとつとして、対象種の採集・飼育などを禁止し、違反者には罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)も適用されると言う内容です。
ところが、現在(平成15年4月30日)は、まだ「保護対象種」が指定されていないのです。
実は、4月1日に「施行」されたのは第1章の「総則」だけで、種の指定や罰則などは「公布の日から起算して9月を超えない範囲内」に施行するようになっています。つまり、この条例だけで考えれば、平成15年12月25日までの間に施行される日まではオビ・イボ・イシカワには規制がなかったことになるわけです。
ところが、実はもう一つ関連の条例があったのです。それが教育庁の管轄である「鹿児島県文化財保護条例」です。この条例によって教育委員会は県指定の天然記念物を指定し、保護します。実は今回平成15年4月22日の教育委員会告示により、オビ・イボ・イシカワの3種が天然記念物に指定されたのです。
タイミングが異なりますが、内容が似ているこの二つの条例により、多くの情報が錯綜したわけです。
何にしろ、これでオビトカゲモドキ・イボイモリ・イシカワガエルの3種の採集・飼育は完全に禁止され、例え飼育下繁殖個体といえども流通はもちろん、譲渡することもできなくなったわけです。ご注意下さい。
▼最後に本音
もちろん条例で定められたわけですから、いかなる理由があるとも守っていかなくてはなりません。そして、そうやって自然下の彼らの絶滅が食い止められていくのは、私たち両爬を愛する者達には喜ばしいことです。
ただね、一言だけ本音を言わせて下さい。
「国や県は法律や条令で保護しただけかいっっ!!!???」と。
伊平屋島とか、徳之島とか、ヤンバルとか、バンバン公共事業でぶっとい道路を通して生息地を分断させたり減少させたりしてるし、天然記念物のリュウキュウヤマガメとか、クロイワとか道路で轢き殺されているじゃないか!!
車に轢き殺されたリュウキュウヤマガメ 写真提供:佐久間 聡 |
それから、八重山のセマルハコガメ(天然記念物)なんて、いまだに地元の採集業者が乱獲して台湾産とか、中国産って偽って(一部、本当に正規輸入された個体もありますが)流通しているじゃないか!!!
本気で保護しようと思っているのか!?と、問い詰めたい気持ちです。
とにかく、流通に関しては結局は、末端である私たち飼育者たちが欲しがるのが原因です。自分も含めて、戒めていきたいものです。