◇両爬ファンの低年齢化
さて、こんなに素晴らしいコーンスネークですが、ちょっと私は最近考えてしまうことがあります。
ヘビファンの低年齢化が進んでいるような気がするのです。イベントでも小学生くらいのお子さんがヘビを欲しがったり、各種掲示板やMLなどでも十代前半の方の質問や書き込みが目につくようになってきました。
もちろん私も小学生の頃に近くで捕まえたヘビを水槽に入れたりしていましたし、まともに飼育できずに泣く泣く逃がしたりもしましたから、飼育のスキルという面でも、さらに飼育には経済的・時間的なゆとりの面でも、低年齢の方に簡単にヘビ(だけに限りませんが)の飼育を奨めることには賛成しかねます。しかし、それこそ私たちのような大人や、保護者の方々が子供達に「いのち」を扱っているんだ、と言うことをしっかりと教えていけば、きっと小さなヘビファンたちも、ヘビと幸せに暮らせるようになるかもしれません。
◇コーンに始まり、コーンで終わる
そんな低年齢化の需要に応えられるヘビがコーンなのではないでしょうか。
コーンならば「良い意味」での「ヘビ界の『みどりがめ』」になれそうな気がするのです。「安価」「丈夫」「きれい」そして「繁殖」「コレクション性」があり、さらに深みにはまれば、一生コーンの虜になる方だっているでしょう。
そんな意味からも、なんだかコーンスネークが、ここに来てあらためて注目を浴びそうな気がするのです。
◇そのための注意
ただし、ただ単に「安いコーンを大量に流通させよう」としてしまっては、それこそ「みどりがめの悲劇」と同じ轍をコーンに踏ませてしまいます。以下の注意と啓蒙が絶対的条件になります。
・飼育者にとっては価格と命の重さは無関係
どんな生き物でも飼育を始めたならば、その命は完全に飼育者が責任を負うべき。安いヘビにも十分な手間やエネルギーを傾ける。
・絶対に逃がさない、放さない
コーンは温帯性のヘビですから放たれれば帰化してしまう可能性は高い。
・ショップなどでの正確な情報の伝達
ショップでは安いヘビに、高価なヘビほどはエネルギーはかけられないのは実情でしょう。ならばせめて購入時にしっかりと情報の伝達と意識の啓蒙を。客を育てることはショップの繁栄につながると思います。
・無計画な繁殖はしない
いくら良いヘビだからと言っても、流通量が増えすぎてしまっては不幸なヘビも増えてしまいます。バースコントロールは必要です。
こんなのは理想論だし、現実不可能だ、と言われてしまうかもしれません。でも理想を追っていくことも大切ですし「みどりがめの悲劇」を繰り返してはいけません。これらが実現しない限りは、コーンは初級者にとっても高嶺の花であり続ければいいし、選ばれた飼育者にのみ、その楽しみを味あわせてくれるヘビで良いと思います。
▼もう一つのおすすめヘビ
あんまり長くなりましたが、最後にもう一つ私的おすすめヘビを。
そのヘビはイエローラットスネークElaphe obsoleta quadrivittataです。
「なんだ...」と思うなかれ。確かに、ポピュラーすぎだし、コーンほどバリエーションも少なく、何より気が荒い個体が多いヘビではあります。また、現在はアルビノが中心に流通しているため、むしろノーマルの黄色い個体を目にするのが難しくなっています。
私は、WCのノーマルを1個体だけ飼育していますが、本当に良いヘビなんです。餌食いも良いし、本当に丈夫です。オレンジとも黄色とも言える体色は、コーンの派手な美しさとは対照的ですが、おそらく目にする人すべてが「美しい」と思えるものです。
そして、彼らの「欠点」ともとられがちな、若干の「気の荒さ」こそが、ヘビ飼育の魅力のひとつ「ヘビを飼育している緊張感」を私たちに教えてくれるのです。
きっとコーンの次にイエローラットを飼育してしまった人は、そのままヘビの魅力にハマって行くのでしょう。