以上のようにビタミンやミネラルは多くの食品を摂って供給するわけですが、残念ながら飼育下ではいろいろな理由でそれが十分にできません。そこで、不足分をサプリメントで補うわけです。
現在は、多くのメーカーから様々な商品が売られています。
その多くは「カルシウム」を主成分としたものが多いのですが、このときに「リン酸カルシウム」を使っているモノと「炭酸カルシウム」を使っているモノがあることに注意して下さい。動物の骨はリン酸カルシウムが主成分なので、その商品のカルシウムが動物の骨由来ならばリン酸カルシウムがカルシウム成分として入っていることになります。
もちろん両爬の飼育にはリンも必要なのですが、動物食の種類はリン成分は、普段の食餌だけでリン成分は十分になる可能性があります。ですから、最近はカキの殻などを利用した炭酸カルシウムが主成分のサプリメントが重視されてきています。ただし、どうも、この炭酸カルシウムというのは、両爬の口に合わないのか、コレを使うとエサを食わなくなる個体もいるようなので難しいところです。
▼サプリメントの使い方
サプリメントは粉末状のモノならばエサに混ぜたり、エサの虫の体に付着させて(ダスティング)両爬に摂らせます。
◇ダスティングの仕方
1.ビニール袋を用意します。
2.その中に適量のサプリメントを入れます。
3.そこにコオロギなどの餌となる虫を投入!!
4.袋の口を閉じて...激しくシェイク!シェイク!!シェイク!!!
5.ほどよくダストされて粉だらけになったコオロギを取りだして給餌。目が回って(?)コオロギの動きも鈍くなる、と言ったおまけ付きです。
液体のサプリメントは飲み水に数滴混ぜて飲ませてしまえば、おっけーです。
また餌昆虫のエサにサプリメントを混ぜて、それを両爬に与えることによって間接的に摂取させる(ガットローディング)もよくとられる方法です。ローディング専用のコオロギフードなどもあるようですので、利用してみるのも良いかもしれません。
ニホンヤモリなどは壁土などを舐めてミネラルを補給しているのではないかと言われています。このようにヤモリの仲間達には床にそのままカルシウム剤を撒いたり、小皿に盛っておくとそれを舐めてカルシウムを補給すると良いようです。
▼サプリメントの頻度
よく私たちの間で話題になることの一つです。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」とはよく言ったモノで、そのままサプリメントの与え方と言えるでしょう。必要だが与えすぎは過剰症になる可能性がある、からです。
例えば、カルシウムの形成に必要なビタミンD3は、十分な日光浴ができる環境にある昼行性の種やもともと紫外線に頼らずに体内で合成する夜行性の種には添加はほとんど必要ないので、D3無添加のサプリメントを与えればいいのですが、日光浴不足だったりする場合は時々D3を与えることも必要になる場合もあるようです。
一般的にサプリメントは「給餌の際には必ず与えるけど問題はない」と言う人もいれば「一月に一回くらいしかサプリメントはしていない」などという人もいるようで、結局は常日頃の観察を怠らずに必要・不必要を見極めていくしかないようです。
▼最後に「脱・サプリメント主義」
最後に、サプリメントをほとんどせずに昼行性トカゲの飼育と繁殖を長い間続けている私の友人の話を参考までに紹介しましょう。
その友人は餌となる虫を飼育している間に様々な餌を与えて、徹底的な「ローディング」をすることによって餌の栄養価を高めています。
ミールワームやコオロギには台所で出る様々な野菜くず、穀類、果物、煮干し、卵の殻さらにはあられ菓子の中に入っている乾燥した昆布などなど...また、暖かい時期には毎日のように近所で餌になる虫やクモを捕まえ、仕事帰りの街路樹で帰化昆虫のアオマツムシを捕まえ、カルシウム補給のためにマイマイを養殖し...
これだけ、餌に手間をかけてバラエティを持たせればサプリメントに頭を悩ますことはないのかもしれませんね。