爬虫類・両生類/両生類・爬虫類の飼い方

その10・サプリメント 両爬の栄養学!!

もはや、両爬飼育に必須のアイテムとも言える「サプリメント(栄養補助添加剤)」。主にビタミンとミネラルの摂取が目的ですが、よくわからないで使っていませんか?

執筆者:星野 一三雄

全国の理科系科目が苦手な両生爬虫類飼育初級者(長いな...)の皆さん、お待たせいたしました。「コトハジメ」もいよいよ10回目を数えることになりました。
前回のコトハジメでは「餌」に関して簡単に(あれでも「簡単に」なのです)、解説しましたが、今回はそれに関連するお話として「栄養添加剤」つまり「サプリメント」に関してです。いつの間にか、爬虫類飼育では必須とも言える存在になったのですが、その「正体」がわからないまま使っていたり、「使い方」がわからなかったりしている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はちょっとだけ「栄養学」「生化学」っぽく「サプリメント」を考えてみましょう。

▼両爬にとってサプリメントとは?
先に、お断りをしたいのですが、今回のお話の主役の「ビタミン・ミネラル」と両爬の生理との関係はほとんどわかっていません。ましてや、両爬にはたくさんの種類がありますので、すべての両爬に対するサプリメントのあり方などわかるはずがありません。飼育者一人ひとりが普段の世話と観察の中で一番いいあり方を見つけてください。

さて、そもそもサプリメントとはなんでしょう?両爬飼育では「両爬の餌に補助的に添加するビタミン・ミネラル剤」と考えればいいでしょう。
先にも述べたように、両爬の(それこそ種類毎に)生きていくために必要な栄養素の種類や量などは詳しくはわかっていません。
しかも、飼育されている個体に与える餌は、ほとんどの場合、彼らが自然の中で普段食べている餌とは異なっているのが普通です。ヒョウモントカゲモドキが実際に自然でヨーロッパイエコオロギを常食にしているとは考えにくいですし、ホシガメが野性でチンゲンサイを食っていることもないでしょう。

生き物が生きていくための五大栄養素のうち「炭水化物」と「タンパク質」及び「脂質」は消化吸収される課程の中で「分解」されていきますので、あまりその「質」は問われないと考えていいと思います。例えば、自然で魚類を主食にしているヘビに飼育下でマウスを食わせたとしましょう。極端な話、魚類のタンパク質もマウスのそれも、しょせん20種類のアミノ酸からできているわけですから、胃の中で分解されてしまえば同じようなモノです。(脂質はずいぶんと異なりますが)

ところが五大栄養素の残りの二つ「ビタミン」「ミネラル」はそうはいきません。食物の種類によって含まれているビタミンやミネラルというのは大きく異なっているからです。魚肉の中には多くのビタミンが含まれていますが、獣肉の中にはあまりビタミンは含まれていません。

私たち飼育者は、こちらの都合で彼らが普段食べている餌を優先させるのではなく、あくまで私たちが入手・ストックしやすい餌を優先させてしまいます。そうなると、自然で食べていた餌には多く含まれていたビタミンやミネラルが不足し、最終的に生命の存続や繁殖行動に問題が生じることにもなっていくかもしれないわけです。

そういった、飼育下の餌では不足する可能性を見据えて、私たちは「栄養補助添加剤」を利用することになるわけです。

もちろん、人間同様サプリメントのみに頼るわけにはいきませんが、準備しないよりは準備しておいた方がいい、知らないよりは知っていた方がいい、それがサプリメントです。
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