爬虫類・両生類/ヘビの飼い方

カナヘビの飼い方(後編)(2ページ目)

こんなに身近でこんなに飼いにくい「ニホンカナヘビ」。「春から秋まで飼育して、冬になる前に逃がす」こんな飼育方法を私は薦めます。

執筆者:星野 一三雄

・給餌
餌は小さな虫です。食べるものは何でも与えてみましょう。ただしアリは食べません。もちろん、ショップで販売されているコオロギやミールワームも食いますが、それだけ与えていても長生きはさせられません。とにかくあちこちで餌になる虫を集めましょう。「イモムシ」「クモ」が最も喜ばれます。幼体には「」「ハエ」がおススメです。
サプリメント(栄養添加剤)に頼っても十分ではありません。コオロギやミールワームにもいろいろな餌を与えて、栄養価をあげておく必要もあります。特にカルシウムは大切ですので、煮干しなどを餌昆虫に与えておくのは効果的です。
給餌間隔は「幼体には毎日、成体には一日置き」くらいがいいでしょう。餌の大きさは彼らが楽に飲み込めそうな大きさです。コオロギだったらMサイズくらいまでです。

こまめな餌探しに勝るサプリメントなし

・給水
水は霧吹きで与えますが、水入れにも常時入れておきましょう。水切れも彼らが死んでしまう原因の一つです。

▼観察のポイント
飼育中は毎日の観察を怠らないようにしましょう。観察を続け、少しずつカナヘビを知っていくことにより、それが来年、再来年の飼育力の向上につながります。

・皮膚の質感・脱皮の観察をしよう!
カナヘビの皮膚は乾いていますが、野性のカナヘビを見て、健康な状態の皮膚を覚えてください。皮膚の質感はカナヘビの健康のバロメータです。
不健全な脱皮

また脱皮をするときに体調が良くないと、首や足先に皮が剥け残ったりします。

・目を観察しよう!
両目の視点があっているかどうかを観察してください。原因はわかりませんが、弱ってくると視点があわなくなるようです。

・太っている方が健康!
バランスの取れたエサで太ってくるのならば安心です。特に皮膚がたるんだようなやせ方は健康を害している場合があります。

・歩き方を観察しよう!
足を引きずるような歩き方は栄養のバランスが悪く、「クル病」になっているかもしれません。クル病になると足の指や尻尾の先が妙な曲がり方になります。カルシウムとビタミンD3を強化して、日光浴をさせましょう。ひどいクル病になると頭骨が指で押すと柔らかくなり口が正常に閉じられなくなり、左右で顔の形が変わってしまいます。

▼産卵してしまったら?
健康なメスを初夏に捕まえて飼育すると産卵する場合があります。カナヘビの卵は産卵後一ヶ月前後で孵化します。

卵を発見したらできるだけ卵の上下を変え(転卵)ないように鉛筆で、卵の上に印をつけます。卵は湿ったミズゴケを敷いた小さな入れ物に並べておきます。乾燥しないように蓋をし温度の変化が少ない場所に保管しましょう。毎日、覗いてミズゴケが乾燥していないかをチェックします。

へこんでカビが生えてしまった卵は死卵ですので速やかに取り除きます。健康な卵はどんどん膨らんで、最初の倍近くの大きさになります。

孵化したカナヘビの赤ちゃんはかわいいものですが、小さなエサとなる虫が大量に必要になります。それをコンスタントに準備できる自信がなければ逃がしてあげましょう。きっと来年の春に大きくなって逢えるはずですから。

長くなりましたが、これでもまだまだ書ききれていません。
でも、少なくとも春から秋にかけて飼育し、冬になる前に逃がす飼い方ならばこれで充分でしょう。身近でかわいいからこそ大切にしたいカナヘビ。命を消費するような飼育だけは避けたいものです。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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