爬虫類・両生類/ヘビの飼い方

カナヘビの飼い方(後編)

こんなに身近でこんなに飼いにくい「ニホンカナヘビ」。「春から秋まで飼育して、冬になる前に逃がす」こんな飼育方法を私は薦めます。

執筆者:星野 一三雄

前回の続きで、カナヘビ飼育の後編です。
最初から改めて強調しますが、私の勧めるカナヘビ飼育は
春に捕まえて、冬になる前に逃がして、また春になったら捕まえる」飼育法です。
今回紹介する方法は、あくまで「一夏だけの飼育法」であることをご了承下さい。

※この枠の中は2007年7月に書き足しました。

ただし!!逃がす時は、必ず「捕まえた場所」に逃がして下さい!

そもそも動物愛護法では、飼育している個体の遺棄は罰せられる対象の行為です。しかしながら動物愛護法の改訂に先だって行われた検討委員会では「遺棄」は「危険な場所に移置させる行為」や「危険な場所に遺留して立ち去る行為(置き去り)」、または「他人に危害や迷惑を与えるおそれのある場所に放つこと」と想定されています。カナヘビを、元にいた場所に逃がすことはその範囲にはないと私は考えています。

ですからショップで購入したり、私の大嫌いなカナヘビのネットオークションなどで購入したりした場合は逃がすことは許されません。残念ですが、飼育に長けていない方の場合は、自分の手でカナヘビを殺してしまうという結末を見てしまうことでしょう。

そうならないためには、国産種を産地の表示もしないで販売している無責任なショップや、ましてやネットオークションやらでカナヘビを購入しないことです。

私がここに書いてみなさんにわかって欲しいことは「庭で見かけたかわいらしい茶色くて、尻尾が長いとかげを捕まえて飼ってみたいんだが」とか「子どもが近所の草むらで捕まえたカナヘビを飼うにはどうすればいい?」という場合に、「カナヘビは冬を越させて長く飼育するのはとても難しいことなので夏の間だけ仲良くなって、観察して、冬に入る前に元にいた場所に放してあげて下さい」ということです。

なお、これは「カナヘビ」だけに当てはめて考えて欲しいと思います。なぜなら、他の身近な両爬は、もっと簡単に冬を越せるし、あるいは冬を越す前に別の原因で死なせてしまうからです。

カナヘビだけは特別なんです。

▼飼育に必要なモノ

・ケージ
一匹あたりでしたら全長の2から3倍の長さ、つまり40から60センチほどの水槽や衣装ケースなどでいいでしょう。深さがある方がいいのは言うまでもありません。

・蓋
日光浴が不可欠ですので、カナヘビが通り抜けられない目の大きさの金網がいいでしょう。蓋をしたときにケージとの間にできる隙間も注意してください。部屋の中で脱走したカナヘビにはがあるのみですから。
ちなみに室内で脱走した場合は、光を求めて窓の付近やカーテンに登っている事が多いので、調べてみましょう。

・照明
紫外線の供給が不可欠ですが、照明器具に頼るのではなく日光をフルに活用します。器具からの照明はあくまで補助的に。トルーライトや爬虫類専用のフルスペクトルランプを使います。

・保温
特別な保温器具は必要ありませんが、「レフ球」などでケージ内の一部をスポット的に暖める「ホットスポット」はあった方がよいでしょう。レフ球はケージの大きさにもよりますが15W程度で充分でしょう。

・床材
彼らが住んでいた場所の黒土などが一番です。特別に爬虫類用の砂などは必要ありません。枯葉などを床材の上に散らせておくのも喜ばれます。注意したいのは、彼らが飲み込んでも害を与えないほど小さい粒のものを選ぶことでしょう。

・その他レイアウト
水入れ、木の枝、ホットスポット用の石、餌入れなどを適宜配置してあげましょう。彼らは立体行動が好きなので、狭いケージ内を有効活用できるようにしてあげます。

▼春から秋までの世話
毎日の世話は
・日光浴
・給餌
・給水

くらいなものです。もちろん世話をするときに観察を怠らないようにします。
・日光浴
理想的には毎日、短い時間でいいので自然の直射日光でさせます。もちろん、毎日は不可能な場合が多いので、日曜日ごとなどと決めるのもいいでしょう。午前中からお昼にかけて行い、最も気温が上がる時間帯は避けましょう。普段はレースのカーテン越しの光が入るような場所に置いても効果はあります。
カナヘビ飼育では日光浴はとても大切です。日光浴中のカナヘビはその表面積を増やすためにこれでもかと言わんばかりに体を薄くして広げて、非常に気持ちよさそうにしています。
が、カナヘビ飼育では最大の事故、まさに大虐殺とも言える事故が起こるのも日光浴中です。
気持ちよさそうに日光浴をしているカナヘビを見るとつい油断して長く日光浴をさせようと思ってしまいがちですが、快晴の日の直射日光は思っている以上のエネルギーを持っています。あっという間に熱射病になって即死してしまいます。しかも全滅と言う大惨事にもなりかねません。
ですから、日光浴中は絶対に目を離してはいけません。彼らが日陰に戻ろうとしたらお終いです。時間にして10分くらいで終わるようなことさえあります。
また、日光浴中はケージの半分くらいに影ができるようにし、さらにレンガのように熱伝導率が悪いシェルターを入れてあげるとそこに避難できます。水入れも入れておくことは忘れないように。

日光浴、油断すると大虐殺
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