爬虫類・両生類/ヘビの飼い方

カナヘビの飼い方(前編)

この時期に多くある質問が「カナヘビの飼育方法を教えて!」。最も身近に見られる爬虫類であるニホンカナヘビですが、その飼育方法をお送りします。

執筆者:星野 一三雄

毎年、5月くらいになると決まって、ある生き物の飼育に関する問い合わせが私のところにやってきます。
その生き物とは...「二ホンカナヘビ」です。今回は、私たちにもっとも身近な爬虫類である「ニホンカナヘビ」の飼育を2回に分けてCloseUpします。

そもそも「カナヘビ」って?

「カナヘビ」はれっきとした、手足がちゃんとあるトカゲの仲間です。家の周りで天気の良い日に気持ちよさそうに日光浴をしている尻尾の長いほっそりとした茶色いとかげです。関東地方では「とかげ」というと「カナヘビ」である場合が多いです。
昼行性であり、小さな虫などを食べている、とてもおとなしい生き物です。また、危険を感じると尻尾を切る(自切)ことも有名です。
春になると冬眠から目覚めて、繁殖行動をするため、その季節にはよく目にします。

大きさも手頃で、おとなしく、よく人にも馴れるため、飼育がしたくなってしまいます。何よりカワイイですし。が、ちょっと待ってください!!

カナヘビの寿命はどのくらい?

ニホンカナヘビの飼育は
「短期間、生かしておくのは簡単。天寿を全うさせるのは至難の業。」
です。

飼育をして観察をすること自体は、一般的な昼行性トカゲを飼育する方法で構いません。具体的には次回説明しますが、春に成体を捕まえて、適切に飼育をすれば初夏には産卵をして、晩夏にはかわいいベビーを得ることができるでしょう。この辺は外国産種と異なり国産種ですから気候にあわせて飼育すれば自然の営みを見せてくれます。

また、この間に大切に飼うと人によく馴れるようにもなり「手乗り」にまでする事も可能でしょう。そういう意味ではとても飼いやすく、ペットに向いている爬虫類です。

ただし、その後にある「秋」と「冬」を越えなければ彼らに来年はありません。彼らは一年間だけで生涯を終えるわけではありません。彼らの寿命をご存じでしょうか?あんなに小さな体なのに7年(!)、私が聞いた中で最も長いのは9年も生きたのです!
なのに(もちろん私も経験したのですが)毎年、夏に日光浴中に死なせたり、冬眠中に死なせたり、冬に保温飼育中に死なせたり、冬眠明けに死なせたり...
人間だってそうでしょ?天寿を全うするには普段の食生活や休養をとることに気を遣わなければいけませんよね?ましてやカナヘビは囚われの身です。エサや飼育環境に十分に気を遣いながら飼育をしなくてはいけません。

まずはカナヘビを飼ってみよう!

ところが残念ながら、彼らが野外でどんな生活を送っているのか、よくわかっていません。
もちろん多くの方が飼育や野外での観察を続けることによっていろいろわかってきています。でも、それが飼育となるとわからないことだらけです。でも、だからと言って「飼うな」とも言いません。いいえ、むしろ「飼ってみよう」と勧めたいです。身近な生き物の魅力に気づくことは、そのまま自然保護の啓蒙にもつながりますし、カナヘビの飼育経験は多くのトカゲ飼育の参考にもなると言われていますから。

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