猫は本当に死ぬ時に姿を隠すのか?
猫は、エジプト時代以前から人類のそばで暮らしてきた動物なのに、未だに『謎』とされる部分がたくさん残っている、とっても興味深い隣人です。猫については、様々な『嘘ホント説』がありますが、今回は『猫は死ぬ前に姿を消す』について、考えてみたいと思います。
猫が飼い主の前からいなくなる理由
過去に外出自由にして飼っていた猫が帰宅しなくなった、という経験をお持ちのいらっしゃいませんか?猫が姿を消した理由として考えられるのは、まず以下のようなものでしょう。■帰宅したかったけど、出来なくなってしまった
一番考えられるのは交通事故のような、何かの事故に巻き込まれて……、というケース。外の猫の死亡原因第一位が、交通事故です。
■本能の誘惑に負けて……
去勢していないオスであれば、魅力的なメス猫のニオイに誘われてそのまま放浪の旅に~というケースも考えられます。
■テリトリー争いに負けて…… 自分のテリトリーに、よその猫が流れてきてケンカになり、追い出されてしまい帰れなくなる、ということもあります。性格にもよりますが、一度怖い経験をしたり、痛い目に遭うとその場所自体に不安感を持ってしまい、自分の家が見えているにもかかわらず、道路1本すらを渡ることが出来なくなってしまう猫もいます。
猫は体調の悪さを隠そうとする動物
このようなケース以外では、猫が姿を消す前に何かしらの体調不安をみせていなかったでしょうか?猫は、ぎりぎりまで自分の体調の悪さを上手に隠す・または、気づかないふりができる動物。これは特に若い猫の方が顕著で、わたし自身「朝ご飯は完食!晩ご飯は少し残したけどたいしたことじゃない」と思っていたら、夜中に急変、という経験があります。この子は、膿胸という胸の中に膿がたまる病気で、次の日の朝一番で診察を受けましたが、診察中に亡くなってしまいました。
では本当に、猫は死ぬ姿を飼い主に見せないために、姿を隠すのでしょうか?
猫は死に際に姿を消すという方程式は成り立たない
まず、猫に『死』という観念があるかどうか? これは、人を除くほとんどの動物に当てはまると思うのですが、わたしは、無いと思っています。どんなに辛い境遇であっても、死んで楽になりたい!と自殺する猫はいませんよね。だから、死ぬという観念がなければ、死ぬ前に姿を消す、という方程式が成り立ちません。
具合が悪いと感じた猫は、どうするでしょうか? 弱肉強食の自然界では、身体が弱っている動物が真っ先に狙われます。自然の本能が強く残っている猫は、ケガや病気で体力が落ちた状態で、他の動物の攻撃対象にならないために、落ち着ける安全な場所に身を潜めます。
具合が悪い時の猫は、特に暗くて気温の低い場所に行く確率が高いです。そして、動かずに体力の回復を図ります。しかし、回復することが出来ず、隠れ家でそのまま…。 室内で飼われている猫も、かなり体調が悪くなると、人目につかない静かで気温の低い場所に身を潜めようとします。寒いところに行きたがるのは、自分の体温を下げて身体を半冬眠状態にして、余分な体力を使わないための本能ではないか?とわたしは想像しています。
猫を外出自由にしている飼い主にとってみたら、猫が自分の死ぬ姿を見せないために、姿を消したんだな~と思うかも知れません。でも、実際は猫は生きるために姿を隠すのです。
もし、同居中の猫がひと目のつかないような場所に身を潜めるようになったら……。何かしら潜在的な病が進行中かも知れませんので、早急に診察を受けることをおすすめします。
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