晩年を迎えた猫との過ごし方やケア
晩年を迎えた猫との過ごし方
ペットショップなどで売られているフードを見ると「シニア用」と書かれているものの大半が「7歳以上の猫」が対象となっています。
猫の7歳は人間で言うと50歳前後、人間でもそろそろ健康に気を付けた方がいいとされる年齢です。
一般的に、そこそこ長命な猫生を送って旅立って行く猫は、12歳から16歳程度だと思いますが、これは人間だと73歳~93歳くらいに当たります。
では、老猫と言うのは何歳くらいを指すのかと言うと、これにはもちろん個体差はあるものの、だいたい10歳(人間で言うと60歳前後)を目安に、ケアを考えてあげるとよいのではないでしょうか。
猫は肉食動物で、人間より筋力に優れておりますが、老齢化してくればその筋力も衰え運動能力も低下します。また新陳代謝も低下します。
老猫へのケア、と言うと何か特別な事の様に思われがちですが、これらに付随して起きてくる様々な事に目を配ってやるという意味では人間でも猫でも基本は同じです。
食餌について
運動量、新陳代謝が共に低下して来るので、若い頃と同じ食餌を与え続けているとカロリー過多になって、肥満をひきおこします。肥満は心臓や腎臓、そして背骨などに悪い影響を与える為、まずは太らせない事が大事です。その為には、少量でも栄養価が高く消化のよいものを、胃に負担がかからない様に回数を分けて与えるとよい様です。具体的にはたらなどの白身の魚、鳥のささみ、チーズなどがそれに当たります。(ただし、人間用のチーズは塩分がきついので塩分の控えてある動物用のチーズを与える様にしましょう。)また固いものは歯が欠けてしまったり、丸飲みして腸に留まったりする事があるので与えない様にしてください。
また、歳をとってくると便秘がちになる猫ちゃんもいるので、便の具合をみながら繊維質の多いもの(例えば柔らかく煮たキャベツなど)を与えるのもよいと思います。
ただし、猫は元々は肉食動物ですから、野菜を多く与え過ぎるとかえって負担になってしまう事もありますので与え過ぎない様に注意が必要ですが。
ペットショップに行くとローカロリーで消化のよい、老猫用の食餌も沢山販売されていますので、こういったものを利用されるのもいいと思います。
多頭飼いの場合には、育ち盛りの若い猫と老猫との食餌が混じらない様に与える事も大切です。
室内について
筋力の衰えと共に視力も低下して来ますので、思わぬ所で怪我をする事がありますので、いつも飛び降りる場所があれば、そこの高低差をなるべくなくして階段状態に降りられる様にする、落ちても致命的にならない様に下にクッションを置いてやるなどすると、怪我を未然に防いでやる事ができます。また、俊敏さにも欠けますので、重いものが倒れて来た場合などにはよけ切れない事も考えられますので、重いものは壁に立てかけたり、高い所にはのせないといった注意も必要でしょう。(もっともこれは若い猫にとっても危険な事ですので、生き物を飼っている場合には老猫に限らず注意すべき事ではありますが)
歳をとった猫は若い頃にも増して、睡眠時間が長くなりますので、静かにぐっすり眠れる環境を作ってあげましょう。
夏の暑い時にはクールマットを用意したり、冬の寒い時期にはヒーターなどをお気に入りのベッドに入れてやってもいいと思います。
病気について
歳をとってくると、筋力など目に見える部分だけでなく、当然内臓の機能も低下して来ます。食餌の所で触れた通り、太らせない事がまずは大切なのですが、腎臓機能が低下していないかどうかを水の摂取量を把握する必要があります。飲み水が殆ど減らない、その反対に異常に水を飲む、などは危険信号ですので、必ずかかりつけの獣医さんに健康診断をしてもらってください。
また、長年の餌による歯石が溜まって来る様になると、そこから歯肉炎をおこしたり口内炎などになり「痛くて食べられない」という現象が起きると途端に体力も低下してしまいます。
歯石は全身麻酔をして除去する事も可能ですが、老齢している猫にはこの全身麻酔が負担になり、それが元で死んでしまうという事もあり得ますので、本当は若いうちから歯石を付着させない努力をするのが一番です。
私の知り合いには、毎食後歯を磨かせている人もいるくらいです。(猫用の歯ブラシもペットショップに行けば売っています)
ガイド宅の猫たちには歯磨きはさせていませんが、時々歯石の状態をチェックして歯茎に異常がないかの点検はする様にしています。
7歳を越えたら、人間ドッグならぬ猫ドッグを年に一度くらいは受けさせられれば理想だと思います。
猫もボケる?
猫も、ボケる事がある様です。食事をねだる、夜中に鳴きながら徘徊する、トイレの位置が分からなくなって粗相する、などがその症状だと聞きます。人間のボケも叱るとひどくなると聞いた事がありますが、猫も同じであろうと思います。
長い間、心を癒してくれた猫ちゃんがボケてしまったら、最期の時を迎える時までどうか温かく見守ってあげて欲しいと思います。
猫の一生はあっと言う間です。
時折、熟睡している愛猫の姿を見ると「来るべき日」の事を思って、目頭が熱くなる事がありますが、一度命を預かったものの責任として、どんな事になろうとも、きちんと送り出せる時まで面倒をみようとその頭をなでながら決心を固める今日この頃です。
【関連記事】