LEDを使った初期製品の人工美から抜け出した、
なめらかで繊細な色再現


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地上、BS、110CS(シングルチューナー)デジタルフルハイビジョンテレビ、KDL-55XR1 予想実売価格 750,000(税込)


XRシリーズ最大の特徴は、バックライトに一般的なFL管(蛍光灯の一種)でなく、RGB三色のLEDを使っていることです。LEDバックライトは、今回が初めてではなく、2004年のQUALIA005に「トリルミナス」として初めて搭載され、昨年のKDL-70X7000にも採用されています。

いずれも、ソニー液晶テレビのイメージリーダー的な製品でしたが、今回は、通常ラインの最上位に初めて使ったわけです。しかも、XR1シリーズではRGBを小ブロック単位で部分制御し、画面内の明るさの不要な部分は最低レベル(5%)まで発光を下げることができます。従来の発光方式では、バックライトが光り続けることで暗いシーンの色再現性の純度を損なっていたのを改善、部分制御は、省電力化にも寄与することができます。

XRシリーズは動画対策に、「モーションフロー120Hz」が採用されました。2倍速とか120Hzというのは液晶テレビの残像ボヤケを解消するために、画像のコマ数を基本の60コマ/秒から120コマ/秒に倍増する技術で、各社の標準仕様になりつつあります。詳しくは下記を読んでみてください。

【参考記事】
液晶方式の動画ボヤケって何?

ソニーの倍速技術が「モーションフロー」です。XRシリーズは、W1の「4倍速240Hz駆動」の搭載は見送られましたが、従来のモーションフロー120Hzの動画補正技術に、RGB LEDバックライトブリンキング技術(オン/オフ制御)を応用しています。

一般の120Hz駆動の場合、二枚の映像の間に黒画面を挿入することで前の映像を一度リセットし、液晶画面のホールド効果による動画ボヤケを改善するのですが、フリッカー(ちらつき)が発生するという弊害がありました。XRシリーズの場合、2フレーム(コマ)の中間映像を含めた全てのフレームに部分的なブラックアウトを施し、さらにリセット効果を施すことで、動きの早い映像での残像感を抑えるのです。

映像エンジンには、新開発の「ブラビアエンジン2プロ」が採用されています。

ブラウン管の最後の時期、ソニーは従来のDVDやテレビ放送の映像を高品位化してハイビジョンブラウン管に映し出す目的でDRCという統合型画質処理回路を開発しました。薄型時代になるとどんなパネルをデバイスに使っても、一貫してソニーらしい画質を出す回路に発展しました。

その最新版DRC-MFv3を中心に、480の標準映像に止まらず、フルハイビジョンの映像もさらに磨き上げる機能を加えたのがブラビアエンジンプロ2です。動きのある映像の細かなノイズを抑え、ディテールの情報量や細部のニュアンスが精密に表出されることが特徴です。

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地上、BS、110CS(シングルチューナー)デジタルフルハイビジョンテレビ、KDL-46XR1 予想実売価格 600,000(税込)


発売を一ヶ月後に控えた9月中旬に、ソニーの品川テクノロジーセンターでKDL-55XR1とKDL-46XR1の二機種を視聴する機会を頂きました。他社の液晶方式、プラズマ方式の最新/現行製品と同時比較する形式でしたが、驚かされたのは、KDL-55XR1とKDL-46XR1プラズマの最新製品を上回る深く沈んだ黒を出していること。絶対的な黒輝度に関して液晶方式はずっと不利だったわけですが、KDL-55XR1とKDL-46XR1はいっぺんにそれを返上しました。

ソニーが用意したソフトは、『スウィーニー・トッド』(BD-ROM)、『プライドと偏見』(放送録画)、私が今回持参したディスクは、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』、『アクロス・ザ・ユニバース』、『音符と昆布』(すべてBD-ROM)といった作品でしたが、QUALIA時代にLEDバックライトが初登場した時の色域の広さを強調したような人工美でなく、今回は非常に画がこなれていて自然、それでいて色彩の階調が豊富、LED光源が繊細なニュアンスの表出に役立っているのです。

一例を挙げると、ジュリー・テイモア監督の『アクロス・ザ・ユニバース』で恋人をベトナム戦争で失った娘が、リバプールから大西洋を越えてアメリカにやって来た青年と恋に落ちるシーンは、彼女の輝く金髪と恋のときめきで紅潮していく白い肌の描写が難しいのですが、KDL-55XR1とKDL-46XR1の場合、金髪の輝きと繊細感、そして白人女性の柔らかい肌がかぶらず、極端に対比的にならず、絶妙なのです。これはLEDの色域の広さとブルーレイディスクにも適用可能になったDRCの併せ技によるものです。

ハイビジョン放送の録画では、ビデオによる実景映像でDRC-MFv3の威力がフルに発揮され、自然風景の奥行き感が非常に豊か、カメラのパンによる解像度の低下やノイズの発生が目立って少なく、快適な視聴が楽しめます。

KDL-55XR1とKDL-46XR1を見ていると、ずっとプラズマ方式の画質のファンだった私からは申し上げにくいのですが、プラズマ方式に出来て液晶方式に出来ないことがほとんどなくなりつつあることが実感されます。残された大きな課題は水平視野角の制限(特にVA方式)くらいで、プラズマ方式の牙城だった、映画ソフトのなめらかで強調感のない質感描写や暗部階調まで、KDL-55XR1とKDL-46XR1は掌中に収めてしまいました。ソニーが持てるテレビ技術の厚味がいま、液晶方式を大きく押し上げようとしているのが実感されます。

「映画ソフトを中心に見るから、買うのはプラズマかな」とお思いの方には、このKDL-55XR1とKDL-46XR1、必見の製品といえるでしょう。

【関連リンク】
ソニー ブラビア

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