諏訪大社は、夫婦喧嘩によって
上社と下社に分かれた

夕暮れの諏訪湖。夜になると、寂しくなったタケミナカタさんがお渡りになるという
相撲に負けて逃げてきたタケミナカタさんは、地元の神様との軋轢はあったものの、うまいこと諏訪の地を治めるようになり、ヤサカトメという地元の美人と結婚して十三人もの子供が生まれ、末永く幸せに暮しました。

と言いたいところなのですが、どこの夫婦でも長く連れ添うといろいろなことがあるように、この夫婦も、あるとき大喧嘩しました。すると、ヤサカトメは、「別居させていただきます」と荷物をまとめて、下諏訪に行ってしまいました。

しかし、タケミナカタさんは、その翌日には、もう寂しくなって、夜の闇にまぎれてヤサカトメに会いに行くようになりました。何でこっそり夜に行くかと言うと、あんな大喧嘩をした手前、村人たちに見つかるのが恥ずかしかったから。でも、足跡が残ってバレちゃった。その足跡が、有名な「御神渡り」なんですねえ。

それにしても、タケミナカタさんは、なかなか人間っぽい神様です。わたしは、相撲が強い力自慢の人よりも、弱くてもこういうかわいいところがある人のほうが好みだな。

四つの宮には謎がある

下社の秋宮。奥様の家のせいか、どことなく女性的
そういうわけで、諏訪大社には、諏訪湖をはさんで、上社と下社の二つがあり、上社は本宮と前宮、下社は春宮と秋宮の二つに、さらに分かれます。つまり、諏訪大社は、その四つの神社を合わせた総称です。この四つの神社には、それぞれに、いろいろと謎があります。

上社も謎でいっぱいですが、とりあえず、下社の話からします。こちらは、奥さんのヤサカトメが暮らすところです。春宮と秋宮に分かれるのは、春と秋に神様が移動するからです。ダンナと別居した上に、別荘もある。こういう身分にわたしもなりたいな。
巨大な注連縄。どこかで見たと思ったら、出雲大社の大注連縄に似ている

さて、写真を見てもらうとわかるように、下社の秋宮には、びっくりするほど巨大な注連縄がかかっています。はて、どこかで見たような・・・。そうそう、出雲大社の大注連縄と同じです。何でそうなのかなと一瞬思いましたが、当然ですね。タケミナカタさんの父のオオクニヌシさんは出雲大社の神様ですから。出雲と信州、こんな遠く離れた土地が、同じ文化を共有しているとは!

古代信州のミステリーは、次のページに続きます。まずは、謎に満ちた祭、御柱祭とその由来について