古代の日本を知る
ヒントは神社にあり
わたしは寺と仏像を研究する「テラタビスト」です。しかしオールアバウトで「神社、寺めぐりガイド」を始めて以来、神社を訪れる機会も増えてきました。以前は、神社はイマイチ面白みがないと感じていたのですが、それは単に仏像がないからでした。わたしは、神社で見るべき大切なものを見落としていたのです。それは何かというと、古代の日本がどうなっていたかを知るためのヒントです。仏教が伝来して以降のお話はわりとよく知っているのですが、わたしは、それ以前の日本についてをよく知りません。しかし、神社に行って「ふむふむ、この神社には、●●神が祀られているんだな」などといろいろ調べているうちに、日本古来の神様の世界が仏様の世界と同じくらい面白いとわかってきました。
諏訪大社と言えば、あの大迫力の御柱祭。これにも古代のミステリーが隠されている |
神話は物語です。しかし、少し知っていくうちに、一見、荒唐無稽に思われるお話の中に、現実に起きた出来事が反映されているのでは、と感じるようになりました。むろん、古事記や日本書紀に書かれていることのすべてが本当というわけではないでしょうが、その多くの部分は、何かを暗示しているのではないか。ならば、神社には、古代日本のミステリーを解く鍵が、山ほど隠されているわけです。
諏訪大社の神様に注目!
今回ご案内するのは、長野県の諏訪大社です。あの、勇壮な「御柱祭」で知られる有名な神社で、そのご由緒は、日本でも最古級といわれるほどです。古代の日本は、近畿地方が中心なのではと思いがちですが、実は、長野県の山の中にも、日本という国ができていく過程に深くかかわる歴史があります。諏訪大社の神様は、タケミナカタノカミとその奥さんのヤサカトメノカミ 諏訪大社は、上社(本宮、前宮)と下社(秋宮、春宮)の四つの神社の総称である |
諏訪大社の神様は、あの大国主命の息子さんです。大国主命と言えば、島根県の出雲大社の主として有名ですが、その息子さんが、なぜ、こんな遠く離れた信州までやってきたのか。それには深い深いわけがあります。
大国主命の息子、タケミナカタノカミは、出雲から信州に逃げてきました。それはなんと、相撲に負けたからだった!それがどんな相撲であったかは、次のページで