ヌードの弁天様

弁天様も、もともと水に関係の深い女神様でした。ヒンズー教の中ではサラスヴァティと呼ばれ、川を神格化したものであるとも言われます。そのため日本でも水の近くに祀られることが多いです。ここ、江の島は、むろん海の近く、琵琶湖の竹生島、上野の不忍池にも、弁天様が祀られています。それほど大きなものでなくとも、お寺や神社の境内に小さな池があってその近くに祠があれば、そこには、多くの場合、弁天様がいらっしゃいます。
弁天様のお堂は、法隆寺の夢殿と似た形をしている

ヌードの弁天様はNGなので、サムエル・コッキング苑のお花をお楽しみください
田寸津比賣命が祀られた辺津宮の辺境内の奉安殿には、八臂弁財天(八本の手がある)と、妙音弁才天が安置されています。この妙音弁才天様が、かの有名なヌードの弁天様です。色白で柔らかな体つきの弁天様は、堂内に流れる説明によれば、「女性としての特徴をすべて備えておられる」らしいです。むむっ、これは、男性ならずとも、ちょっと覗き込みたくなりますね。

片足を上げて琵琶を弾くポーズで、おおらかなエロス美が感じられます。しかし、毘沙門天など男性の仏様が裸でこのようなポーズを取っても単なるお笑いになってしまうかも。やっぱり女性って美しいものだなぁと、かつて宗像三姉妹や弁天様と同じような海辺の美女だった(????)わたしは思うのでした。しかし、もう人前では水着姿もご迷惑な今のわたし。ああ、人に栄枯盛衰の歴史あり。

さて、肝心のご利益は

見よ、このおびただしい縁結びの絵馬を!
宗像三女神のご利益は海上安全。もともとこの女神様たちは、玄界灘の神として福岡の宗像大社に祀られたのがはじまりです。北九州は、中国大陸や朝鮮半島に最も近く、外国との貿易や進んだ文化を受け入れる窓口であったため、海上を行き来する人が多かったからです。そういうわけで、船に乗る人などには、たいへんご利益がありそうです。また、江の島あたりには、昔から漁業に携わる人が多かったので、その意味もあるでしょう。

三女神のうちのひとり、市寸島比賣命と同一のものと見なされる弁天様には、ご存知のように、音楽芸能の上達のご利益があります。また、弁財天と書いたときの「財」の字から、福徳のご利益も。
縁結びの絵馬には、こんなにいろいろのご利益がある。恋は一筋縄では行かないからね

しかし、江島神社に奉納された絵馬の中でもっとも多いのは、縁結びの絵馬です。巷では、弁天様は女性なので、仲のよいカップルを見ると嫉妬する、などとも言われますが、こちらの弁天様はそうじゃないみたい。

備えあれば憂いなし?
二人の心に鍵をかけよう

こんな南京錠をかけてしまっては、逆に将来が心配
辺津宮、中津宮にお参りし、ぐるっと道を回った奥津宮の手前あたりに、「龍恋の鐘」がある丘への道があります。海を見下ろす高台にあるこの鐘を鳴らすと、二人の恋が成就するのだとか。

それでも心配な人は、近くのお土産屋さんなどで売っている南京錠を買って、それに二人の名前を書いて、念のために、がっちりと鍵をかけます。鐘の周辺には、熱い想いのこもった南京錠がぎっしり。それを眺めながら、もと、海辺の美女だったわたしは、「ふっ、この人たち、まだまだ青いわね。こんなことをしたら、もう少しして嫌になったときに別れられなくて困るじゃないのさ」と思うのでした。ああ、人に栄枯盛衰の歴史あり。

次のページは、なぜこの鐘が「龍恋の鐘」と呼ばれるのかについてです。昔々、江の島に、美しい天女に恋をした五つの頭を持つ龍がいたそうな。