寺・神社/京都の寺・神社

新緑の京都を歩こう1 奥嵯峨野と鳥居本編(4ページ目)

5月?6月は、京都を訪れるのに最適なシーズン。連休が終われば人出もぐっと減り、ゆっくり散歩できます。今回は数あるお勧めコースの中から、奥嵯峨野、鳥居本をご案内します。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド


さらに下って
化野念仏寺に行く

化野念仏寺は、一人で旅する女性が多い
少し歩くと、道の両脇に街道筋風の古い建物が並ぶ場所に出ます。その一角に、もうひとつの念仏寺、化野念仏寺があります。化野という名前から、幽霊でも出そうだなと思う方もいるでしょうが、そうですね、このあたりは、かつて成仏できない霊があちこちにいてもおかしくない場所でした。その昔、京都の庶民たちは、亡くなってもお墓に埋葬してもらうことができず、野ざらしの風葬でした。その後土葬となり、石仏や石碑が奉られるようになりました。

それらは、長い歳月の間に土に埋まったり、あたりに散乱したりして無縁仏となりました。明治中期に、地元の人々がそれを集め、この寺に奉りました。そのためか、こちらの石仏群を眺めているだけで、人の命のはかなさやむなしさがひしひしと伝わってきます。二つの念仏寺に行くたびにいつも感じるのは、同じように石仏が並ぶ似た名前の寺でも、歴史やコンセプトで、まったく違った印象になるということです。人生もしかり。むなしいと思えばむなしい、楽しいと思えば楽しい。何事にも明るい面と暗い面があり、双方のバランスを取ることが、上手に生きるコツだと思います。

嵯峨野と言ったら
湯豆腐です

茶寮弁治の湯豆腐定食は、シンプルさが魅力
そういうわけで、化野念仏寺で悲しい気分に浸ったあとは、人生最大の楽しみであるグルメにまい進せねばなりません。このあたりのお勧めは、茶寮弁治という湯豆腐屋さんです。こちらの湯豆腐定食は他の店よりも比較的シンプルな構成で、お豆腐の美味しさをしっかり味わえる感じ。余計なおかずがつかない分、お値段が他の湯豆腐屋さんより安めで、しかも、美しい庭園を眺めることができます。予約は不可、その日に仕入れたお豆腐がなくなり次第店が閉まるので、休日は、混みそうな時間帯の前に行ってくださいね。

●茶寮弁治さんのホームページはこちらです

竹林を背景にした
街並みを見物しよう

竹製品各種がそろう井和井
弁治さんもそうですが、このあたりの建物は、皆古くて美しく、伝統的建物保存地区に指定されています。京都の中心部では、いわゆる京町家がどんどん壊されて知らないうちに駐車場になっていたりして、街並みが崩れつつあります。ここのように古い建物が並ぶ様子は、京都でも、もう貴重なものになってしまいました。しかもそれが、豆腐と並ぶ嵯峨野名物である竹林を背景にしているところが、いっそう趣き深いのです。

竹を使って作った生活用品の店もあります。いろいろなものがあり、竹は昔から日本人の暮らしに欠かせないものだったとわかります。眺めて美しい、食べて美味しい、実用にも使えるの三拍子ですからね。発明王エジソンが電球を発明した際、フィラメントの素材として京都の竹を使ったのも有名な話。京都の竹は偉大なのだ! 

しかし、昔のアメリカで、エジソンがどのようにして京都の竹の存在を知ったのかは、大きな謎。嵯峨野に来るたびに、わたしはそのことを思い出して、夜も寝られなくなります。ご存知の方は、ぜひ、メールにてご一報ください。

次のページは京都の裏ベストシーズンである5~6月にお勧めするその他のエリアのご案内です。
  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます