寺・神社/京都の寺・神社

新緑の京都を歩こう1 奥嵯峨野と鳥居本編(2ページ目)

5月?6月は、京都を訪れるのに最適なシーズン。連休が終われば人出もぐっと減り、ゆっくり散歩できます。今回は数あるお勧めコースの中から、奥嵯峨野、鳥居本をご案内します。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド


1200体の石仏群

山際の境内には、なんだかユニークな表情の石仏がぎっしり並んでいます。この寺の創建はたいへん古いのですが、その後荒れ果てていたものを、西村公朝さんという著名な仏師の方が預かって再興されました。その際、一般の人に、石で羅漢像を彫って奉納することを呼びかけ、このようにたくさんの石の羅漢さんが集まったのです。
緑に包まれた境内にユニークな石の羅漢さんがぎっしり並ぶ

どこを見ても、笑える石仏だらけの明るいお寺
その数にも驚かされるのですが、ひとつひとつの石仏の表情やポーズも面白く、眺めているうちに、ついつい時間を忘れます。仏像の世界には、いろいろと難しい決まりがありますが、一般人の方々はそれにとらわれず、それぞれの心のおもむくままに、自由奔放にこれらの像を造られたのですね。

そのためか、こちらの石仏は妙に明るい表情のものが多く、ほほえましくて幸せな気分になります。人生、少々の悩みがあっても、とりあえず笑ってみよう。たくさんの石の羅漢さんは、そんなことを語りかけてくれるようです。
●愛宕念仏寺のホームページはこちら

赤い鳥居は
愛宕神社のものです

愛宕神社の一の鳥居があるため、鳥居本という地名になった
そこから少し下ったところに鳥居本の集落があります。ここにある鳥居は愛宕神社のものですが、ここから険しい山道を登った先にあるので、時間と体力があるときに、ここだけを目的にしてお参りください。

愛宕神社のある愛宕山は、標高942メートル。京都で一番高い山で、京都人なら、遠足その他で、一度は登ったことがあるそうです。彼らの話によると、愛宕登山の道は、同じような景色が続いて単調な上に勾配がきつくて辛いということですが、愛宕神社は全国にある愛宕神社の総本宮で、火伏の神様。つまり、火事に遭わない神社ということで、その昔は、列をなすほどお参りの人が多かったのです。

●愛宕神社のホームページはこちら

萱葺きの建物が残る鳥居本の集落
昭和4年から19年までは愛宕登山のケーブルカーも走っていました。ケーブル愛宕駅舎周辺にはホテルや遊園地、スキー場、4人乗り大型飛行機が回る飛行塔もでき、「地上の楽園」と呼ばれるほど楽しい場所だったそうです。しかし、戦況の悪化により終戦の前年に廃線になりました。お国のために金属を供出する目的でした。

そのまま時が流れ、現在は、車で登る道もありません。こういった場所は、「昔は歩いて登る道しかなかったけれど、今は電車や車で行けて便利になったね~」という話の流れが普通ですが、ここはその逆なんだなあと思うと、鳥居本のひなびた風景が、何となく切ないものに思えるのでした。

愛宕のケーブル跡には廃墟もあり、健脚な冒険者たちに人気のようです。心惹かれる写真を満載したホームページもいくつかあります。体力さえあれば、一度歩いてみたい不思議な雰囲気のある場所ですね。

●愛宕ケーブル廃線跡の写真はこちらで見られます

次のページは美空ひばりさんにも愛された鳥居本の超高級料理屋さんでひと休み。なぜ貧乏なわたしが、このようなリッチな店に行くことができたのでしょうか?
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