寺・神社/宿坊に泊まる

ご利益シャワーの宿坊で尼僧の暮らしを体験(2ページ目)

奈良県と大阪府の県境にある信貴山では、一般の人も、尼僧や僧の体験ができます。おまけにここは、関西有数の商売繁盛の寺で、普通にお参りするだけでも、山ほどご利益をいただけるありがたい場所なのだ。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド


コスプレが修行の始まりだった

尼僧スタイルが完成しました。着物慣れした方々だが、さすがに暑さは隠しきれず
こちらのお寺では、尼僧の服装を貸してくださるのは10人以上の団体のみで、本来、少人数の場合は尼僧の服装をお借りすることはできませんが、今回は取材ということで、特別に準備していただきました。やっぱり何事も形からということで、一同大喜びで尼僧のコスプレに挑んだのですが、これが冬用の素材で、ものすごく暑い(いや、わたしは着ていないので、見るからに暑そうとしか言えないのですが…)。

そういえば、わたしが以前経験した別のお寺での尼僧修行は、真冬にもかかわらず夏用のぺらぺらの衣装で、ものすご~く寒かった。いずれにしても、尼僧体験は、衣装をつけるところからして修行だということでしょうか。

尼僧の衣装をお借りしない場合は、動きやすい服装を自分で準備すること。それと、あれば数珠を持参してください。また、尼僧の衣装をつける場合は、足袋や白い襦袢などを持参のこと。


ご住職のお話は
大学の授業みたい

弁舌さわやかなご住職の野澤さん
まずは、聖徳太子の障壁画がある豪勢なお部屋で、ご住職の野澤密孝さんのお話を聞きます。仏教とは何か、毘沙門天とはどういう仏様なのかなど、ちょっと大学の授業のようなお話でした。難しい内容ですが、野澤さんはわかりやすく解説してくださいます。

真言宗独特の数珠の持ち方なども教わりました。日本の仏教は、宗派によって、基本的な考え方も細かい所作などもかなり違うので、他の寺で教わったこととは、ここでは使えません。いろいろな宿坊を巡っていると、宗派ごとの違いや日本の仏教の奥深さがわかって面白いものです。

尼僧体験は、主に、この豪華なお部屋で行われます。聖徳太子の絵の上にかかっているのは、伊藤博文の書(ホンモノ)とか


阿息観は、真言宗式の坐禅

「あー」という声を出しながら息を吐き、瞑想状態に入ります
宿坊ならどこに行っても坐禅ができると誤解している人が多いようですが、坐禅は基本的に、禅宗のお寺のみで行われる修行です。こちらのお寺は真言宗なので、阿息観は、坐禅に似た瞑想法の一種と考えてください。こんなことを言ってはお寺の方に叱られるかも知れませんが、われわれ素人にとって、坐禅と阿息観の一番大きな違いは、警策でバシッと叩かれるか否か。阿息観は叩かれないので、気軽に挑戦できます。

なぜ「阿息観」と呼ばれるかというと、息を吐く時に、実際に「あー」という声を出すからです。息を吸う時も、「阿」という文字を心の中で念じます。そうすると、自分の呼吸に集中でき、うまい具合に瞑想状態に入って宇宙と一体化できるのです。わたしはけっこうこれが好きで、時々家でもやってみています。心に何かわだかまりがある時にすると、気持ちがすっきりするみたいです。

次のページはいよいよ最大の難関、「百八礼」です。まるで、ビリーのブートキャンプみたいなハードさですよ。
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