妙法寺は、
東京には珍しい風情ある名刹です

妙法寺本堂は江戸時代の建造物です
今回ご紹介するのは「堀之内の妙法寺」。東京に住む人でも「えっ、それどこ?」って感じかも知れませんが、妙法寺は、江戸時代は、浅草寺と同じくらい有名だった寺で、厄除け祈願のお参りの人が多かったところ。堀之内とは、地下鉄丸の内線の東高円寺駅に近い、杉並区堀ノ内のことです。


広い境内のあちこちに季節の花が咲き、風情のある風景を作り出しています
普段は車ですっ飛ばしてしまう環状七号線から少し入ったところにあるこの寺は、古典落語の舞台にもなっているためか、その趣味の熟年男性にも人気で、ひとりでふらりと散歩に訪れる人がいます。また、境内もたいへん広く、建物も風格ある江戸建築。うっそうと木が茂った墓地あたりにも風情のある、東京屈指の名刹です。とりわけアジサイが美しいので、この季節は、雨の日に出かけるのもお勧めです。わたしの家からもそう遠くないので、奈良や京都に行きたくても時間がないときなど、ふらりと訪れて寺旅情緒を味わうことにしています。境内をゆっくり歩いていると、東京にいることを忘れてしまいそう。


菖蒲とアジサイの寺

梅雨の晴れ間の木漏れ日が美しい
風格ある門をくぐると、はじめての人は、まず「えっ、東京にこんな広くて古寺っぽいところがあったなんて」と驚きます。東京の寺は門が閉まって中に入れないことが多く、入れたとしても狭かったり、特に見どころはない、ということもままあるのですが、こちらは雰囲気のよい境内を無料で散歩し放題です。

春には梅や桜も咲き、それはもう美しいのですが、6月は、菖蒲とアジサイもなかなかのものです。ご近所の人にしか知られていないので、鎌倉の某アジサイ寺のように人また人ってこともなく、ゆっくりと風情に浸れます。雨や薄曇りの日もいい感じなので、ぽっかり時間が空いた午後などに出かけてみてください。
色とりどりのアジサイが咲き乱れます

アジサイの向こうに菖蒲も咲いています


★今回の記事で使ったアジサイその他の写真は、2006年の6月中旬~下旬に撮影したものです。

ジョサイア・コンドルの門

こちらには、江戸期の建物など、古い寺院建築が多いのですが、その中で異彩を放つのが、鹿鳴館を作った建築家、ジョサイア・コンドル作の鉄の門です。わたしは寺や神社巡りだけでなく近代洋風建築を探訪するのも好きで、旧岩崎邸や旧島津邸などコンドル作の建物をいくつも見ました。しかし、この門ほど不思議な形の建造物は他になかったです。和洋折衷というか、和中折衷と言うか…。昔の外国人の目に映った日本やアジアは、こういうものだったのかも知れません。

ジョサイア・コンドルの門は、摩訶不思議な和洋折衷建築


次のページでは妙法寺のもうひとつのお楽しみ、落語についてお話します。この寺は、「堀之内」という有名な古典落語の舞台ですが、それはどんな内容かと言うと…。