寺・神社/東京の寺・神社

お江戸の人気寺でアジサイと落語を楽しもう(2ページ目)

東京には、意外なところに知られざる名刹があります。杉並区の妙法寺も、環状七号線の脇にこんな風情ある寺があったのかとびっくり。ここはアジサイ見物の穴場で、おまけに落語の会を格安で楽しめます。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド


古典落語「堀之内」は、
こんなお話です

堀之内寄席は、ご近所の方々に支えられています
昔、江戸の神田あたりに、たいへん粗忽であわて者の男がおりました。それを治そうと思い立った彼は、霊験あらたかと評判の高い堀之内の妙法寺にお参りに出かけます。妙法寺は日蓮上人を祀った厄除け祈願のお寺なので、ちょっとご利益の方向が違うような気がするのですが、あわて者にとっては、細かいことはどうでもよかったみたいです。

出がけに顔を洗おうとして、猫と手ぬぐいを間違えてほっぺたを引っかかれたり、気がつくと、まったく別方向の両国を歩いていたりと、散々な目に遭って、ようやく妙法寺に到着しました。さて、とりあえずお賽銭。しかし小銭でなくて、財布をそのまんま賽銭箱に投げ込んでしまいました。がっくりと気落ちして弁当を開くと、それは弁当ではなく、女房の腰巻に包まれた箱枕だったとさ。粗忽を治すつもりが、とんだご難。おあとがよろしいようで…。

毎月23日は落語の日


古今亭錦之輔さんは、若手落語家さんの兄さん格

それにちなんでか、こちらの寺では、毎月23日の縁日に、「堀之内寄席」という小さな寄席が開催されています。落語芸術協会に所属する二ッ目さんたちが、月替わりで総出演するので、ご近所の人々は、毎月楽しみにしているみたい。木戸銭はたったの500円で、お茶とお菓子もついています。まだ修行中の若手の落語家さんに、常連のおばあちゃんが突っ込みを入れたりと、和気藹々とした雰囲気も楽しい。いつもではありませんが、たまにご当地落語の「堀之内」も聞けて、盛り上がります。

23日は月の出を待つ日でもあります

二十三夜堂は、珍しい土蔵造りのお堂です
昔の日本には、「月待ち」という美しい風習がありました。毎月23日の夜に集落の皆で集まり、楽しく飲み食いしながら月の出を待って願掛けをするものです。今ではその風習はほとんどすたれてしまったのですが、ここ妙法寺には「二十三夜堂」というお堂があり、今も、その日に願掛けに訪れる人がいます。そのため、23日が妙法寺のご縁日なのです。

縁日とは、もともと、「特定の神仏とご縁を結ぶ日」のことで、この日にお参りすると、ご利益が何倍にもなるということから、江戸時代の庶民たちは、縁日になると、あちこちのお寺や神社にお参りに出かけたのです。妙法寺に来る人々も、今はさすがに月を待つことはありませんが、熱心にお参りしています。特に、商売繁盛と良縁成就にご利益があるみたいですよ。

お堂にかかる巨大な提灯
■妙法寺
・所在地:東京都杉並区堀ノ内3-48-8
・電話:03-3313-6241
・交通・アクセス:地下鉄丸ノ内線「東高円寺駅」から徒歩15分
・地図:Yahoo!地図情報
・HP堀之内妙法寺

次のページでは縁日の参道の様子と立ち寄りスポット。足を伸ばして散歩するお勧めコースをご紹介します。
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