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お祭りビジュアル系が大活躍!常滑の山車祭(2ページ目)

愛知県知多半島は山車の宝庫。春には各地で勇壮な祭礼が行われる。そんな中、常滑市のお祭りは何やらスゴイことになってるようで…。

大竹 敏之

執筆者:大竹 敏之

名古屋ガイド

ビジュアル化の元祖が語る、その意外なルーツ

「お祭りビジュアル系」。
そう勝手に私が命名したこの地域限定ムーブメントのルーツは、私の1年先輩の人物でした。現在は市場(いちば)地区の祭事委員長を務める石井明良(あきら)さん(42歳)こそその人。今をさかのぼること24年前、彼が高校3年生の時に始めたある行動がきっかけなのだそうです。
常滑・刺繍ハッピ
ド派手な刺繍をほどこしたハッピは10万円以上かかるものもザラとか。

「最初は2、3人の仲間と、背中に華やかな飾り帯を結ぶことから始めたんです。当時、お祭りに参加する若者が年々減っていて、何とか昔の活気を取り戻せないか、そんな思いが発端でした。実は、祭り衆が着飾るのは、戦前もやっていたことなんですよ。ですから、私たちが始めた頃は、年配の人たちから『おぉ、懐かしいなぁ』と言ってもらえたんです」

なるほど~。一見、伝統から逸脱してるかに見えるビジュアル化も、もともとは1人の若者の郷土愛から生まれたものだったのです。

その後、世はまさにビジュアル系ロック全盛の時代となり、そんな流れと歩調を合わせるかのように、常滑のお祭りファッションも年々派手化の一途を辿ることに。と同時に、若者たちも「おらが町」のお祭りに目を向けるようになり、徐々に活気がよみがえるようになったのだそうです。


オリジナルの刺繍ハッピは一着ン10万円!

めいめいが個性と派手さを競う特注のハッピのお値段は数万円~30万円(!)。地区のマークを入れたりする以外は、基本的には自分好みの完全オリジナルが主流となっています。中には座布団の生地で衣装を仕立てるなんて人もいるそうです。

お祭り当日は髪をカラフルなスプレーで固めた小学生の姿も多く、この日ばかりはこんなヤンチャも解禁になるようです。
常滑・お祭りギャル
原色がまぶしいお揃いのダボシャツでキメたお祭りギャルたち。

また、山車の曳き手には高校生くらいの女の子の姿も目立ちます。山車は相撲の土俵同様、女人禁制が残っている地域が少なくないのですが、常滑ではビジュアル化に合わせて女性にも門戸を広げた地区が多いのだとか。このように、若い世代が積極的に参加できるような形に変化してきたことが、現在の盛り上がりにつながっているワケです。

ただ、最近のビジュアル化のエスカレートぶりには、元祖である石井さんも「いかがなものか」との思いを抱いているとか。それでも、少子化のこの時代に、地元の若者がお祭りに熱狂し、盛り立てていこうとする動きは貴重なもの。新旧の世代が手を結んで、今後もこの盛り上がりをよい方向に導いていってほしいものです。

このビジュアル路線は常滑地区独自の動きですが、5月下旬までは東海地方の各所で、山車を主役とした春祭りが開催されます。高山祭(岐阜県高山市・4月14・15日)、犬山祭(愛知県犬山市・4月第1土日)のような有名なお祭り以外でも、地域の人たちが守り続けてきた見事な山車を見ることができます。ひょっとすると、ビジュアル系に負けず劣らずの個性あふれる盛り上がりにも出合えるかもしれません。

■関連HP
常滑市HP
尾張の山車まつり
知多半島および周辺地域の山車祭りの場所・日程がチェックできます。
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