世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

伊・西を巡るロマンティック建築の旅!(2ページ目)

魅力ある世界遺産が多いヨーロッパはテーマを持って旅しよう! 今回オススメするのはロマン溢れる建築物を堪能するイタリア~スペイン旅。ゴシックからアールヌーヴォーまで、建築史もマスターしてしまおう!

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ミラノ大聖堂
イタリアには珍しいゴシックらしいゴシック、ミラノ大聖堂。約500年をかけて完成した大聖堂で、一部には19世紀のゴシック・リヴァイヴァルも取り入れられている。

ハイライト1:ヨーロッパ建築の中心地ローマ、バチカン

パンテオン
世界遺産であるローマ歴史地区内にあるパンテオン。128年の建築で、あまりに巨大なドームは「奇跡」と言われ、千年以上たった後のロマネスク・ルネサンス期の建築家たちにも大いに研究された。
建築史は時代順に見るとわかりやすい。となると、まずはローマだ。

ローマ時代の遺構が集中しているのがローマ歴史地区。帝国の中枢フォロ・ロマーノや円形闘技場コロッセオ、万神殿パンテオンは必見だ。また、ローマ帝国がキリスト教を国教化して建てたバシリカ(教会堂)も見ておこう。サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂などの四大バシリカがオススメだ。これらがヨーロッパ建築の基礎をなす。たとえばフィレンツェのドゥオーモ(大聖堂)のクーポラはパンテオンのものを参考にしているし、バシリカが発展してロマネスク以降の建築が生まれたのだ。

さて、ローマ歴史地区でヨーロッパ建築の基礎を見たら、バチカンでヨーロッパ建築の完成を見よう。ルネサンス・バロックの至宝、サン・ピエトロ大聖堂だ。ブラマンテ、ラファエロ、ミケランジェロ、ベルニーニと当時の名建築家が結集して完成させた、ヨーロッパ建築の集大成と言えるものだ。

ローマにはこの他にもロマネスクのサンタ・コスタンツァ聖堂や、バロックのスペイン広場、トレヴィの泉、ナヴォナ広場など、あらゆる建築を見ることができる。時代を意識しながらローマ巡りをしてみよう。

■関係する世界遺産
・ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フォーリ・レ・ムーラ大聖堂
・バチカン市国

ハイライト2:ロマネスク&ルネサンスのフィレンツェと、ゴシック&ルネサンスのミラノ

サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会
ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」で知られ、世界遺産にも登録されているサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会。
ロマネスクからルネサンスにかけての建築物ならフィレンツェが欠かせない。ロマネスクの典型サン・ミニアート・アル・モンテ教会、ロマネスクからルネサンスへの変遷期にあたるサン・ロレンツォ教会やサント・スピリト教会を訪ねれば、ロマネスクの特徴がわかるだろう。ミニマルなファサード(正面)、暗い空間、光のドラマティックな演出など、シンプルながら個人的にはとても好きな建築だ。

これらを見たら、ルネサンスを象徴するフィレンツェのランドマーク、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂へ。均斉のとれたデザイン、透き通るような大理石、重厚なクーポラ(ドーム)、絢爛深遠なモザイク画など、ルネサンスのシンプルさに対して、芸術の爆発を感じ取ろう。他にもサンタ・クローチェ教会やウフィツィ美術館などがルネサンス建築にあたる。

ミラノでは、まずロマネスクの傑作サンタンブロージョ教会と、ルネサンスのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会を訪ねよう。このふたつを見たあとミラノ大聖堂を訪れると、ゴシック建築のあまりの違いに驚くはずだ。ゴシックは光をふんだんに取り入れようとした建築様式だが、イタリアではトゲトゲしい外観はあまり流行することなく終わった。しかし、このミラノ大聖堂は例外で、ゴシック建築としては世界最大規模を誇っている。

イタリアの3都市、ローマ、フィレンツェ、ミラノを巡れば、ローマ時代の建築から、それを取り戻そうとしたロマネスク、光を欲したゴシック、芸術が爆発したルネサンス、円熟するバロックと、建築史の流れがつかめるはずだ。

■関係する世界遺産
・フィレンツェ歴史地区
・レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院

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