ル・コルビュジエの何がそんなにすごいのか?
1階は柱が並ぶピロティが展開する国立西洋美術館本館。 |
日本やアジアの木造建築を見慣れた目には、西洋建築のほとんどがアーチやドーム・ぶ厚い壁を持ち、とても重厚に見える。これは石という重く小さい素材を用いて広い空間を確保するために必要不可欠な構造で、空間を広げれば広げるほど天井の重みは急速に増し、ますます重く厚く多数のアーチや壁が必要となった。
それに対して日本の部屋では障子などを使って広く明るい空間を演出できた。これは日本の木造建築が軽くて、大きな木の柱を使って重みを集中させることができたのに対し、西洋の建物は壁全体あるいは多数の柱を使って重みを逃がさなければならなかったためである。
これを一変させたのが鉄筋コンクリートだ。
木より細くて強力な鉄筋と、壁はもちろん柱としても自在に形を変えるコンクリートが融合して、鉄筋コンクリートが誕生した。これによって重い天井も重い壁も多数の柱も不必要となるわけだが、これをもっとも有効に、美しく使ったのがル・コルビュジエ(1887年~1965年)だった。
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