両校とも「キリスト教・カリック男子校」だが、遅刻に罰則がある栄光、罰則がない聖光と校風に違いがある |
「渋谷幕張中・渋谷渋谷中の徹底比較研究」「早稲田の系属中2校(早稲田・早稲田実業学校)研究」「慶應義塾の附属中3校(普通部・中等部・湘南藤沢)研究」に引き続き、今回は神奈川の人気男子校で、カトリック校の栄光学園中学校(以下、栄光)と聖光学院中学校(以下、聖光)を「基本データ・教育の特徴」「大学合格実績」「入試結果・偏差値」「募集要項」「学費」で徹底比較研究します。
ちなみに著名な卒業生は、栄光が養老孟司さん(解剖学者・作家)、細川護煕さん(元首相・中学のみ卒業)、聖光が小田和正さん(ミュージシャン)、角澤照治さん(アナウンサー)となっています。
栄光学園中学校(男子校)
■所在地:神奈川県鎌倉市玉縄4丁目1-1番地■創立年:1947(昭和22)年
■中1生徒数:男子約180名(4クラス)
■高校募集人数:高校では募集をしない完全中高一貫校
■教育理念・校風:カトリックの中高一貫校として全人教育をめざす。「Men for others」(他者のための人間)が教育理念。人格教育を中心とした教育を行っている。毎日の朝礼、授業前後の瞑目(めいもく)、2限終了時の中間体操(上半身裸にて)、清掃、全員参加の部活動などにより規律や集中力を養い、人間関係作りを学ぶ。宗教の授業はなく、特別な宗教教育は行っていないが、始業式・終業式のミサや、課外活動として希望者対象の聖書研究会(金曜放課後)などを実施。
■教育の特徴:中高一貫校に多い大学受験に向けた教育体制はとっておらず、6年間を「初級/中1・中2」「中級/中3・高1」「上級/高2・高3」に分け、中高生としての心身の成長に重きを置いた教育を行っている。
高1ゼミという、週1時間の必修選択授業が設けられていて、これは小グループ編成の講座において、先生と生徒のより親密な関係など、通常の授業では得がたい効果をねらったもの。授業のテーマも通常とは違った異色のものが多く、また成績評価も行われない。自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考えるといったねらいをもつ総合的な学習の一部としても位置づけられている。
聖光学院中学校(男子校)
■所在地:神奈川県横浜市中区滝之上100番地■創立年:1958(昭和33)年
■中1生徒数:男子230名程度/5クラス
■高校募集人数:なし(完全中高一貫校)
■教育理念・校風:1958(昭和33)年、カトリック・キリスト教教育修士会を母体とする学校法人聖マリア学園によって創設。姉妹校として外交人子弟のためのセント・メリーズ・インターナショナル・スクールや、静岡聖光学院(学校間の交流は殆どない学校)がある。「紳士たれ」の校訓のもと、何よりも人間教育に重きを置き、予備校不要とされるほど進学指導には定評がある。
■教育の特徴:予備校不要といわれるほどの学校。主要教科を大切にし、例えば、中1で英語週7時間、数学週6時間と多くの時間をあてる。授業は手作りのプリント教材を中心に進められ、英語のプリント教材は年間200枚以上に達するとも。一方で、外部からの特別講師も招き、大学で学ぶようなアカデミックな内容をふんだんに盛り込みながら、生徒の知的好奇心を大いに刺激する「聖光塾」を行っている。生きる力を育むための体験的な学習も大切にし、教科教育や学年の枠にとらわれない多様な活動を展開するのがこの「聖光塾」。 塾の講座の一つ「里山の自然」では市内に残る里山に分け入って五感をフルに使った自然観察を行い、自然のなかにあるものを使って竹笛などのおもちゃ作りにも挑戦する。
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