Do you ever wonder what that would be like… touch?
触れてみたい…そう願ったことがあるだろう?
City of Angels (98) 『シティ・オブ・エンジェル』 |
何にも触れることができず、感じることもできない。無機質な永遠の命を授かった天使のセスにとって、限られた命の中で愛し、傷つけ、痛み、血を流す人間の生き方は、はるかに豊かで輝きのあるものでした。
ある日、死を迎えた患者を訪れた病院でセスは、患者を甦生させるために懸命に戦う女医マギーと出会います。まるでセスが見えるかのように、彼のいる場所をまっすぐ見据えたマギーに驚くセス。「He's not going anywhere.(死なせるものですか)」とつぶやくマギーの目に宿った、力強い人間の生命。セスは自身の永遠の命とひきかえにしても、彼女と触れ合いたい(touch)と願うようになるのでした。
I'm a messenger of God.
私は神の使者
マギーの前に姿を現したセスは、臆することなく自分をmessenger of God(神の使い)と名乗ります。マギーはセスの言葉を冗談としか受け止めず、messengerのもう一つの意味、郵便配達員とかけてこんなセリフを放ちます。Maggie: Got a message for me?
マギー:私あてのメッセージは?
Seth: I already gave it to you.
セス:もう届けたよ
Maggie: Did you use my pager? I usually don't get my messages unless you beep me.
マギー:ポケベルを鳴らしてくれないと、私には届かないわ
Seth: You've definitely been beeped.
セス:鳴っているのに気づかないだけだよ
このシーンの会話には、意味深けな言葉遊びが隠されています。beepは、電子機器の発信音や、「ピーピー」という擬音語として使われることが多いのですが、マギーはここでpager(ポケベル)を鳴らす、という意味で使っています。これに対し、セスは神からの啓示をさしていて、自分たちが出会うのは運命だったと告げているのです。
はじめは風変わりなセスに懐疑的だったマギーですが、彼の純真なまなざしに心を預けていくようになります。たった一人愛した人間の女性に触れられず、もどかしさを募らせたセスは、とうとう天使の命を放棄して、生身の人間に生まれ変わる決意をするのでした。
One.
たった一度でも
全身に激痛を感じて瞼を開けると、赤い血の流れる手が目に映る。人間として新たな人生を手に入れたセスは、痛みをものともせずマギーの元へかけつけます。これまで想像の世界でしかなかったすべてに触れ、子どものように無邪気に踊り、歓喜の声をあげるセス。マギーが事故に見舞われ、永遠の別れがすぐに訪れるということを、セスは知る由もありませんでした。マギーのいない家で一人静かに暮らすセス。彼を訪れた旧友の天使は、もしも別れが来ると知っていたら、どうしたかとセスに尋ねます。セスは頬を涙で湿らせながらも、しっかりと確信をもった口調でこうつぶやいたのでした。
I would rather have had one breath of her hair,
one kiss from her mouth, one touch of her hand,
than eternity without it. One.
彼女の髪の香り、唇の感触、手のぬくもり
たった一度でも彼女を感じることができないなら
永遠の命は無意味だった たった一度でも
『シティ・オブ・エンジェル』 City of Angeles (98)
監督●Brad Silberling ブラッド・シルバーリング
主演●Nicolas Cage ニコラス・ケイジ、Meg Ryan メグ・ライアン他
米国オフィシャルサイト●http://city-of-angels.warnerbros.com/