ミュンヘン・オリンピック事件の惨事を描いた『ミュンヘン』を巡り、政界他の各界で物議を醸しています。

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モサドのチームリーダー、アヴナー(右)と仲間のスペシャリスト、ロバート(左)。Karen Ballard. © 2005 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
この作品は、1972年、ミュンヘン・オリンピックでパレスチナゲリラ「黒い九月」がイスラエルの選手村を襲撃し、コーチ、選手、審判を含む11人が銃殺された事件とその後を描いた物語。オリンピック史上に最も大きな影を落としたこの惨劇に、イスラエルが出した答えは同害報復。事件に関わりのあるパレスチナ人の中から、被害者と同じ11人を一人残らず暗殺する計画を企てます。
この暗殺部隊モサドに結集された4人のスペシャリストは、国と正義のために任務遂行を承諾しますが、終わりの見えない任務と組織の冷徹な指令に徐々に疑問を抱きはじめます。わたしは正しいのか?――作品のキャッチコピーにもあるように、『ミュンヘン』は単なる史実を映像化した映画ではなく、冷酷な暗殺行為の裏で暗殺者たちが抱える苦悩に焦点を合わせた心理ドラマなのです。

イスラエル人、パレスチナ人として登場するキャストの英語は中東訛り。耳慣れない発音をカバーするために黒い九月(Black September)、hostage(人質)、Jews(ユダヤ人)他、作品のキーワード的な単語を予習しておくと聞き取りが楽になるでしょう。鑑賞前の予備知識に、史実に基づいて書かれたジョージ・ジョナス原作の『標的(ターゲット)は11人―モサド暗殺チームの記録』や、ミュンヘン・オリンピック事件の背景を詳細に解説しているサイト特別暗殺チーム「黒い九月」が起こした「ミュンヘン五輪虐殺事件」などで、事件当時とその後の背景を学習することをお薦めします。

【英語の難易度】
★★★★★(上級レベル)

ゴルダ・メイアの一言で可決された作戦

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極秘委員会でゴルダ・メイア(右)が下した決定は……。Karen Ballard. © 2005 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
1972年9月、罪無きアスリートたちが犠牲となった事件の報告を受けたイスラエル政府。これを機に、繰り返されるパレスチナの屈辱的な動きに業を煮やしたイスラエル政府は極秘委員会を設置します。そこで、イスラエルのゴルダ・メイア首相が下した決定は、「黒い九月」のテロリスト暗殺計画。首相は落ち着いた様子で、揺ぎ無い決意を示すかのように次のセリフを口にします。

These people…. Just want to destroy us.
Forget peace for now. We have to show them we're strong.

「彼らの目的は私たちを滅ぼすこと。
平和は忘れなさい。今は彼らに私たちの力を示す時です」

【セリフの解説】
destroyは人や物事を完全に破壊する意味の動詞。明らかなパレスチナの敵意を汲み取った強い表現です。For nowは「今のところ」を意味する大変頻度の高いフレーズなので、多用して体得してしまいたい表現ですね。

【このように使用します】
That's all for now.
「今のところ、それだけです」

Have you heard of the website, Top 10 Ways to Destroy Earth?
「地球を破壊する10の方法」ってウェブサイト知ってる?(※興味のある方はこちらをクリック!)

作品中のゴルダ・メイア首相のセリフはフィクションですが、実際には数々の名言を残したことで知られています。詳細はこちらのサイトをご覧くださいね。

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© 2005 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
【作品データ】
邦題:ミュンヘン(2006年2月4日公開)
原題:Munich(2006)
ジャンル:犯罪 / ドラマ / 歴史 /スリラー>
配給:アスミック・エース エンタテインメント
監督:Steven Spielberg スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:Eric Bana エリック・バナ(アヴナー)
Daniel Craig ダニエル・クレイグ(スティーヴ)
Ciaran Hinds キアラン・ハインズ(カール)
Mathieu Kassovitz マチュー・カソヴィッツ(ロバート)
Hanns Zischler ハンス・ジシュラー(ハンス)
Geoffrey Rush ジェフリー・ラッシュ(エフライム)他
原作:George Jonas ジョージ・ジョナス
脚本:Tony Kushner トニー・クシュナー
Eric Roth エリック・ロス他
URL:米国オフィシャルサイト

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