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美しく甦ったドレスデンのフラウエン教会(2ページ目)

現在公開中の映画「ドレスデン、運命の日」の中で登場するフラウエン教会。第二次大戦の空襲で破壊されましたが、2005年に感動の復活を遂げました。「戦争の傷跡」から「和解の象徴」へ生まれ変わった教会のお話です。

執筆者:カルカ 麻美

和解のメッセージが込められた新しいフラウエン教会

フラウエン教会(ドレスデン)
建物には白い部分と黒い部分のつぎはぎが。教会前には見学のために並ぶ人々の列。 ※写真はクリックで拡大します
再建はオリジナル設計に忠実に、できる限り元の資材を使用して行われました。再建後のフラウエン教会は全体的に白っぽい色をしていますが、元々は黒ずんだ石の色でした。オリジナル資材が使われている部分は、この黒い色をしているのですぐに分かります。

白と黒の石が所々つぎはぎになっている新しいフラウエン教会。このつぎはぎ部分は戦争によりこの教会が破壊された事実を伝え、そして同時に戦争の傷がまた一つ癒えたことを表しています。

また塔の上に立っていた十字架は1993年に瓦礫の中から発掘されましたが、修復はせず、戦争記念碑として残されることになりました。これは教会内部に展示されています。現在塔の上に立つ新しい十字架は、イギリスから「和解の印」として贈られたもの。この十字架は、ドレスデン空爆を行ったイギリス軍兵士の息子によって制作されました。


盛大に祝われた完成式典

フラウエン教会(ドレスデン)
フラウエン教会完成式典の様子 写真提供:Stiftung Frauenkirche Dresden
(C)Jörg Schöner
2005年10月30日に行われた完成式典には6万人もの人が集まり、フラウエン教会の復活を祝いました。中には涙を流している人の姿も……。教会が立つ広場には内部見学をする人の長蛇の列ができ、その列は翌朝5時まで途切れることはなかったそう。フラウエン教会の再建は、ドレスデン市民にとってそれほど大切なことだったのです。

映画『ドレスデン、運命の日』の中で、この式典の様子が少し紹介されています。フラウエン教会の感動的な復活は、とても心に残るシーンです。

フラウエン教会(ドレスデン)
エルベ川の対岸から見たフラウエン教会



「戦争の傷跡」から「平和と和解の象徴」へと生まれ変わったフラウエン教会。内部の美しい装飾は見事で、ぜひじっくりと見学したいところです。詳しい解説が聞ける日本語のオーディオガイドもおすすめ。今でも多くの人が押し寄せ、中に入れるまでに時間がかかることもありますが、並んででもぜひ内部を見学してみてくださいね。

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