丸天井が印象的な、ドレスデンのフラウエン教会(聖母教会)。第二次世界大戦で破壊され、戦争の傷跡として瓦礫の山の状態で残されていましたが、戦後60年を経た2005年に見事、元の姿に甦りました。現在日本で公開中の映画『ドレスデン、運命の日』の中でも、このフラウエン教会が登場します。

17年の歳月をかけて建設された
石造りの強固なバロック教会

フラウエン教会(ドレスデン)
建設当時の「フラウエン教会」を描いたBernardo Bellotto(Canaletto)の絵画
フラウエン教会は1726~1743年に建設された、バロック様式のプロテスタント教会。支柱を使用しない巨大な丸天井がとても印象的です。この丸天井には4人の福音史家、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネが描かれています。フラウエン教会は、大砲の弾を跳ね返すほどの非常に強固な造りで、「破壊不可能な教会」と言われていたそう。

廃墟と化したフラウエン教会(ドレスデン)
戦争で崩れた教会の瓦礫の山は「戦争の傷跡」として長年残されていた 写真提供:Stiftung Frauenkirche Dresden (C)Jörg Schöner
しかしこの強固な教会も、第二次世界大戦の「ドレスデン大空襲」(1945年2月13~14日)を生き延びることはできませんでした。2日間にわたって行われた空爆による直接的な破壊は何とか逃れましたが、割れた窓ガラスから炎が流れ込み、空爆が終わった翌日には建物全体が崩れ落ちてしまったのです。内部にこもった熱により、1万2千トンもの重さがある丸天井を建物が支えきれなくなってしまったためでした。


戦後45年でようやく再建へ

フラウエン教会(ドレスデン)
11年にわたる再建期間を経て完成したフラウエン教会

すでに崩壊直後から教会再建の声はありましたが、戦後共産主義国となった旧東ドイツの権力者にとって、「教会の再建」はそれほど重要なテーマではありませんでした。そのため再建を望む市民の思いはなかなか実を結びません。それどころか、戦争の傷跡として残されていた「瓦礫の山」が、完全除去されてしまいそうになる場面が何度もあったと言います。

東西ドイツが統一を果たした1990年、再建運動がようやく正式に世界に呼びかけられます。これは大きな反響を呼び、世界中の個人、企業、団体から資金が寄付されました。こうして再建工事が1994年に開始され、11年という長い歳月をかけてフラウエン教会は見事、元の美しい姿に甦ります。

再建工事はオリジナルに忠実に行われました。詳しくは次のページでご紹介します。イギリスから贈られた塔の十字架のエピソードも。