通訳・小林のり子さんに聞く -通訳が教える英語上達の秘訣- 今回は、通訳としてご活躍の小林のり子さんにインタビューし、英語を学習している方へのアドバイスを含め、役に立つ話をたくさんうかがってきました。 |
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小林のり子さん 津田塾大学英文学科卒業。 雑誌編集を経てエンタテイメント業界を中心とした通訳者となる。 デビット・ボウイ、フレデリック・フォーサイス、オリバー・ストーン、レオナルド・ディカプリオなど、数多くの著名人の通訳を務めている。 スペイン語もマスターし、今は韓国語を勉強中。 |
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--まずはじめに、語学の勉強をするときに配慮したほうがいいことを教えてください。 小林さん 繰り返す、そしてマネをするということです。つまりシャドーイング(*注)ですね。また、言葉を論理的ではなく情緒的に受け入れることも大切です。頭で考えるのではなく心で捉えるということです。そして、声に出すということもとても大切。英会話の教材でも、ひたすらCDの英語だけを聞いて、マネをするんです。テキストなんて見る必要ありません。 *注: 相手の話を聞きながら、そのままオウム返しで口に出していく。同時通訳には欠かせない訓練の1つ。言語に慣れるために非常に有効。 --英語を含め、言語の勉強で大切なことは何でしょう? 小林さん 好奇心!好奇心にかぎると思います。または観察力といってもいいですね。言葉にかぎらず、新しいものに対するときには、好奇心が大事だと思っています。 --発音についてはどうですか? 小林さん カタカナ英語でいいと思います。きちんときれいに発音しなくても、カタカナ英語で話をすれば、英語ができないということを相手もわかってくれますし、自分に向いてくれます。きれいにしゃべろうとする必要は全然ありません。 --小林さんご自身が語学の勉強を振り返って、こうすればよかった、ああすればよかったと思う点はありますか? 小林さん そういうことは考えないようにしています。むしろ、そういうことを考えていたら動けませんよ。通訳をする場合でも、ITや電子頭脳など、自分の知らない分野を訳さなければならないこともありますから、過去を振り返って真剣に失敗を直そうとばかり考えていては、恥ずかしくて生きていけません。 --なるほど。確かに英語の上達が早い方は、失敗を恐れず、楽観的な方が多いですね。 小林さん そうです。いい加減な方が多い。私を含めて。(笑) --英語を勉強している方なら誰でも経験があると思いますが、最初のうちはなかなか通じなくてツライ思いをしますよね。これはどうやって克服すればいいのでしょう? 小林さん 習いたてなら通じなくて当たり前。それなのにどうしてツライんですか。逆に、面白いですよ。通じさせようというチャレンジ精神も生まれてきます。 そもそも、ツライと思うなら英語をやめればいい。別の努力をしてお金をもうけて、通訳を雇えばいいんです。でも、英語をやると決めたなら、それは自分の責任。ツライと思っても、ツラクしているのは自分なんです。そういう方に対しては、「ちょっと俯瞰して見て」って思います。自分を見直すことが必要だということです。 |