『いぬのうんち』が韓国で40年間も読まれ続ける理由は? |
韓国で「犬」は、「犬野郎」「犬のような奴」などの悪口に出てくる、どちらかというと卑しい動物とされています。その「うんち」ですから、『いぬのうんち』が彷彿とさせるイメージは、韓国人にとって良いものではありません。そんな絵本がなぜ40年も読まれ続けているのでしょうか。早速、そのあらすじを韓国語とともに見てみたいと思います!
『강아지똥』のあらすじ。韓国語文章を見ながら
「돌이네 횐둥이가 똥을 눴어요.
골목길 담 밑 구석 쪽이에요.
횐둥이는 조그만 강아지니까
강아지똥이에요」
「白い毛を生やした野良犬がうんちをしました
小道の塀の脇に
こいつは小さな犬なので
いぬのうんちです」
そんな「いぬのうんち」を見て、通りかかった雀は、
「똥! 똥! 에그, 더러워…….」
「フン! フンだ! うわぁ、ばっちい…….」
と飛んでいってしまいました。その言葉に傷つき、「いぬのうんち」はわびしくて泣いてしまいます。すると、その横で転がっていた「どろんこ」が、くすくす笑い出しました。そしてこんな風に言うのです。
「똥을 똥이라 않고 그럼 뭐라 부르니?
넌 똥 중에서도 가장 더러운 개똥이야!」
「うんちをうんちと言わず何と言うんだよ
おまえはうんちの中でもいちばん汚い、犬のうんちさ!」
そういわれ大泣きをする「いぬのうんち」。しかし、「どろんこ」は傷つけてしまったことを謝りながら、身の上話を始めます。
「정말은 내가 너보다 더 흉측하고 더러울지 몰라….」
「本当は、わしがおまえより、あくどくて、汚いかもしれない…」
「どろんこ」は、畑で穀物や野菜を育てていたのだけれど、干ばつがひどかった夏に「とうがらし」の木を死なせてしまったことをとても悔やんでいたのです。
春になり、「いぬのうんち」の目の前にタンポポの芽が顔を出しました。「いぬのうんち」が「君は誰?」と聞くと、
「‘난 예쁜 꽃을 피우는 민들레야’
‘얼마만큼 예쁘니? 하늘의 별만큼 고우니?’
‘그래, 방실방실 빛나’
‘어떻게 그렇게 예쁜 꽃을 피우니?’」
「‘私はきれいな花を咲かせるタンポポよ’
‘どれくらいきれいなの? 空の星のようにきれい?’
‘そうよ。にこにこと咲くのよ’
‘どうしたら、そんなにきれいな花を咲かせられるの?’」
「いぬのうんち」がしたこの質問に、「タンポポ」が答えると、その答えに「いぬのうんち」は大喜びをし、意外な行動に出ます。
「いぬのうんち」がとった行動は、子供だけでなく大人をも感動させるものでしょう。生命の大切さ、不思議さ、そして取るに足らないものにも目を配り、大切にする心など、多くのことを教えてくれます。
私はこの本を2歳の娘に最初は韓国語で読み、次に日本語に訳しながら読み聞かせてみましたが、神妙な顔つきで聞いていました。「また読んで」とねだりもすれば「いぬのうんち、死んじゃったの?」と心配をしたりもします。そこから「いのち」に関する親子の会話が生まれます。子供にも、響くものがあるのでしょう。
次ページで、韓国の絵本の入手方法や、読む際の意外と難しい点などをお届けします!