日本を知ることの重要性とは?
日本を知ることの重要性とは?
海外生活経験者に「出発前の準備へのアドバイス」を聞いてみると、↓みんなが口を揃えて言うことが3つある。
■語学力を磨いておく
■お金を貯めておく
■日本のことを知っておく
最初の2つは、誰もが多かれ少なかれやっているのだが、「もっと努力してしっかりやっておけばよかった」という反省だ。言葉やお金の準備をせずに出かける人はいないから、準備中の人だって、言われなくてもやっているだろう。
3つ目の「日本を知る」に関してはちょっぴり事情が違う。「出発前には、そんなことが大切だなんて夢にも思わなかった」という人が多いのだ。海外に目が向いている時期に、日本に興味を持てというほうがムリなのかもしれないが、現地で生活してみると、授業のプレゼンテーションなどで日本を紹介することもあれば、普段の会話の中で「日本はどう?」と質問されることもある。ごく普通のコミュニケーションの中で、日本のことを聞かれる機会が次々と何度もやってくるのだ。
外国人に日本のことを説明できる?
「日本人なんだから、日本の説明なんて簡単!」と思う人は、どこの国のものでもいいからガイドブックを開いてみよう。人口、面積、気候、通貨といった基本情報に加え、歴史、文化、政治、経済、宗教、民族、習慣・マナー、祝祭、食、治安など、その国を理解するためのさまざまな手がかりがたくさん載っているはずだ。果たして、日本について質問されたとき、それらの項目すべてに対して自信を持って答えることができるだろうか? 外国人相手に分かりやすく日本のことを説明するのがどれくらいタイヘンなことか、実際にやってみればすぐ分かる。たとえ自分が理解していることでも、だ。
「知らない」ではすまないことも……
旅行で訪れるだけでも、ガイドブックに載っているようなことを聞かれることはある。これが生活するとなると、税金や雇用、年金や保険など暮らしに関わる制度や、外交や環境問題など時事的なこと、歌舞伎や能に代表される伝統芸能まで、ありとあらゆる事柄が話題にのぼる。「日本のことならダイジョウブ!」と胸を張って答えられる日本人はどれくらいいるのだろう?
「よく知らないの。ごめんね」と笑ってすませることができればいいけれど、そうはいかないこともたくさんある。たとえば歴史。残念ながら、大事なことがすっぽり抜け落ちているのが、日本の教育の現状なのだ。わたしもそうだったけれど「いかに自分の国のことを知らないか」ということを海外で思い知らされる日本人は後を絶たない。
海外生活のおまけ
受ける影響ばかりに目を奪われがちだが、異文化生活は双方向の国際交流だ。留学生は、語学学校の先生やホストファミリーをはじめとする周りの人を通して、その国への理解を深めるし、周りの人はその日本人留学生の言動を通して、日本という国や日本人を理解する。たとえ本人が意識していなくても、相手にとっては「日本代表」の存在になりうるのだ。
日本のことをよく知らないまま海外で生活を始めると、現地でたっぷりと冷や汗をかくことになるが、会話を重ねていくうちに、視野はぐ~んと広がる。海の向こうから見た日本、よその国の人から見た日本人を知ることが、日本を広く深く理解することにつながっていくからだ。新聞や本をじっくり読むようになったり、出発前には見向きもしなかった日本文化に興味を示したりするようになるのは、「もっと正確に知りたい・伝えたい」という思いを抱くからなのだろう。「日本のことを知っておいた方がいいよ」というのは、経験者の実感あふれるアドバイスなのだ。
日本に関する得意分野を持とう
そんなわけで「日本に関する知識のおさらい」は海外生活準備の基本である。できれば得意分野を持つのがベスト! 自信を持って語れることなら、何だってかまわないのだ。オリエンタルな日本を追求する外国人はちょっとがっかりするかもしれないけれど、古典的なものや伝統文化である必要はない。
もしかしたら、これからは「現代の日本」を正確に発信していくことこそが大事なのかもしれない。海外のニュースで取り上げられる日本の話題はいつまでたっても経済や産業のことばかりだし、映画やドラマに出てくるのは、外国人のイメージでステレオタイプ化された日本人。そろそろ草の根レヴェルで等身大の日本を発信していく時期ではないだろうか。
●Japan Today
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●Tokyo Food Page
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