「西遊記」は史実が元になっている!
西遊記が小説の形で世に登場したのは明・清の時代(1400~1900年頃)。
ですが、この時代に突然西遊記の物語が考え出されたわけではありません。
玄奘三蔵がお経を求める旅をしたのは史実です。そして、玄奘三蔵の旅の伝説は唐の時代(西暦7世紀前半)に「大唐西域記」という旅行記に著されました。これが、「西遊記」という物語の元です。
やがて、この旅行記を元とした講釈(人前で話を聞かせる演芸の一種)が広まり、南宋時代(11世紀頃)では講釈の台本として「大唐三蔵取経詩話」が定着、その後「西遊記」という名前になり、次第に小説や劇の台本へと進化していきます。劇の台本から進化したものが、京劇の「西遊記」です。
京劇においても「西遊記」は人気の演目
もちろん、長いストーリーのすべてを舞台で見せるのは無理ですから、ある一場面を抜粋して演じられます。
テレビドラマも、悪役が登場し、三蔵法師一行がピンチに陥り、孫悟空らの活躍で見事悪役を打ち倒すという形の一話完結形式が多いですが、京劇もそれと同じです。
ストーリーもわかりやすいですし、孫悟空らの立ち回りなど見応えのあるシーンも多いですから、初めて観る演目にもいいかもしれませんね。
関連記事:●京劇迷への第一歩
「西遊記」の原作者は誰?
原作者は長い間「呉承恩」という人だと信じられていたのですが、最近では疑問視されています。
長編であること、少しずつ内容の違う版本がいくつか存在することなどから、全部をひとりの人物が書き上げたものではなく、長い時間の中で語り継がれ、エピソードが加えられながら複数の人間の手によって現在の形にまとまったという説が有力です。
とはいえ、じゃあ他の作者は誰なのか?何人いるのか?というとはっきりしない点も多いので、西遊記の翻訳本などには原作者の名前として呉承恩の名前が表記されているようです。
原作は全部で100話。なかなかの長編です。日本語でも全訳本が出ていますが、出版社によって多少内容に違いがあります。
その100話の内容を、無理を承知でザックリとご紹介!