スラングは、どぎつい言葉や放送禁止用語だけではない
「スラング」と聞くと、一般的にはどぎつい言葉や放送禁止用語が思いおこされるのではないでしょうか?中国語ネイティブではない学習者がやたらと使うには危険で、さりとてまったく知らないでいるのも危険なスラング。
そんな言葉について勉強することの必要性については、以前「取り扱い注意!劇薬中国語」でご紹介しました。
けれども、スラングにもいろいろあります。取り扱い危険度大・劇薬級のスラングばかりが、スラングではありません。
若者の間でしか通じない流行語、業界の符丁が一般化したもの、古典や落語などから派生した言葉遊び、歴史年号や電話番号の暗記で大活躍する数字のゴロあわせ…。
これらの日本語が、国語辞典に収録されていないにもかかわらず日常生活に溶け込んでいるように、中国語にも同じような性質のスラングがたくさんあります。
そして、その種の危険度小・スパイス級スラングは、劇薬級スラングよりも中国映画やネイティブとの会話に、グッと頻繁に登場します。
教科書的な中国語の勉強に飽きたら、ちょっと刺激を求めてそんな中国語を勉強してみるのもよいでしょう。こんな教材をご紹介します。
※画像をクリックすれば書籍の詳細がわかり、購入することもできます。
300ページ強のボリュームとCDつき。1ページにスラング1つと、それを使った会話文・関連単語・その語に関連した豆知識がコンパクトにまとめられています。
●実用的な会話文
辞書や単語集を利用する時に、実際の会話でどのように使われるかイメージが湧かずに困ることがありますが、この本はその点の配慮がシッカリされています。日本語訳もスラングに合わせてくだけた表現(すっげえ!とかドケチなど)が当てられているので、該当スラングの危険度もよくわかります。
●聞いて楽しいCD
語学教材として有益なだけでなく、少しシュールな楽しみ方もできてしまうCDです。というのも、アナウンサー級の流暢な中国語と日本語の声で、あまり上品とは言いがたい言葉の数々が次々と繰り出されるわけです。録音状況を想像してしまうと思わず可笑しくなってしまうかもしれません。また、そんなCDを聞いて淡々と発音練習をしている自分の身を振り返ってみると、さらに可笑しくなるかも…。
●危険度の幅広いスラング
スパイス級スラングである若者の間で使われている言葉や、数字のゴロあわせや流行語などから、劇薬級スラングの性風俗に関する言葉まで収められています。これらを知ることで中国映画や小説、中国人友人とお酒を飲みながらのくだけた会話がより深く楽しめることでしょう。
けれども、言葉は気持ちを正確に伝えるのが難しい道具です。悪気がなく言った言葉でも誤解されてしまったり、正しい表現を使ったつもりでも相手を不快にさせてしまったりする危険性もあります。
スラングは、ネイティブではない私たちにとって使いこなすのが難しい言葉であることを忘れず、言葉の危険度によっては「聞いて理解できる」範囲に留めておきましょう。適度なスパイスは会話も料理も美味しくしてくれますが、使いすぎて何もかも台無しにしてしまわないように…!