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レマン湖いで湯の旅(1)トノン・レ・バン

アルプスを望むレマン湖のほとりは、温泉、鉱泉の湧き出るリゾート地。対岸はスイス。ジュネーヴの目と鼻の先にある絶好のロケーション。さっそくケーブルカーに乗って湖水に足を浸しましょうか。

執筆者:赤木 滋生


リヴの海岸に向かってごとごと下ってゆくケーブルカー。ヨットハーバーや漁業エコ博物館に行くには一番の近道。2股に分かれた中間地点で、下の車両をやり過ごすところ。
トノン・レ・バン(Thonon-les-Bains)の町の中心はレマン湖を見下ろす高台に広がっています。湖畔に沿ったわずかな土地にひしめいているヨットハーバーや漁港とはケーブルカー(フランス語でフュニキュレールFuniculaire)によって結ばれ、人々の生活を支える湖を身近なものにしてくれています。

このケーブルカーが出来たのは1888年。120年近い昔からトノンの人々を運び続けているんですね。湖畔の駅舎はほぼ完成当時のままの姿のままで、こちらは最新のシステムを組み込んだケーブルカーをオペレートしています。

INDEX
  ケーブルカーに乗れない!
  ベル・エポック。120年変わらず行ったり来たり
  お湯だお湯だ、って入れないのか、あーあ
  遊ぶも良し、食べるも良し
  トノン・レ・バン情報


ケーブルカーに乗れない!



奥は市役所、手前がゾナ美術館(Musee de Sonnaz)。右下に見えるのが、こちらケーブルカーの看板。
シャトウ広場にある駅を苦労してやっとこさ見つけたというのに、ホームのケーブルカーはドアを固く閉じたままじゃん、せっかくここまで来てストってんじゃやってられないな。駅員の影も形もないよ、ったく。誰かに聞きたいけど見当たらないし、どうなっているんだろ?

お、入口に何か書いてある。なになに、ご乗車の方はインターホンでご連絡ください、か。んー、仕方ないなボタンを押してと、
「すみません、ケーブルカーに乗りたいんですけど。」
「あ、はい、すぐに開けます。」

グラン・パレを思わせるベル・エポックというか、懐かしモダンなガラス張り駅舎はすでに3代目。階段を下りてゆく、まるで地下鉄のような造り。
のんきなもんだ、ほとんど朝夕以外はお客さんがいないのかな。開いた開いた、と思ったら乗るなりごとごと動き出しちゃったよ。レールは1本、じゃなかった一組。そのレールとレールの間にケーブルが2本走ってる。車両は2台。1台が上に、もう1台が下に。お客さんが乗ると上の車両は下に、下の車両が上に互い違いに上り下りしてゆくんだね。

2つの車両は丘の上の駅にある滑車でつながれているから、それぞれ同じくらいの乗客が乗っているとほとんど動力がいらないで行き来できるわけだ。もちろんちょうど線路の中間地点でポイントがあって、2股に分かれた線路で上下の車両がやり過ごせる訳だね。おっ、下の車両が来た来た。
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